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くろしお車内販売13日まで
◇常連客と心通わす交流
◇販売員「最後まで真心込める」
- 「販売が終わる最後の日まで笑顔で接客したい」と話す小牧さん(左、特急くろしおの車内で)
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主に新大阪と和歌山県内を結ぶJR西日本の特急「くろしお」での車内販売が13日で終了する。これでJR西日本管内を走る全ての在来特急で車内販売が姿を消すことになる。15年前から販売員を務める小牧有紀子さん(35)(和歌山市加納)は「思い出の詰まった電車に乗れなくなるのはさみしいけれど、最後まで笑顔で頑張りたい」と話す。(梨木美花)
くろしおは最長では京都―新宮をつなぐが、現在、車内販売は新大阪―白浜間のみで行われている。小牧さんが仕事を始めた頃は京都から新宮までの片道約4時間半の全区間で販売していた。
- 13日で車内販売が終了する特急くろしお(和歌山市のJR和歌山駅で)
なかでも白浜から新宮にいたる道中は比較的カーブが多く、車体のバランスをとるための「振り子装置」が機能し、よく揺れることでも知られる。この区間で車内販売をする時は、乗り物酔いのような状態になった乗客に、気分をさっぱりしてもらうため、炭酸入りジュースを勧めたのが小牧さんにとっても懐かしい思い出だ。
車内販売が当たり前だったかつては、カートを押して客車に入ると、「お弁当ちょうだい」「コーヒー下さい」と注文の声がひっきりなしに飛び交った。一つの車両を通り過ぎるのに20分ほどかかることも珍しくなかった。
カートに積んでいない和歌山特産のかまぼこをほしいと客から求められ、列車の中から急いで携帯電話で注文し、途中駅で受け取って販売したこともある。「縁あってせっかく乗って下さったお客様だから精いっぱいのおもてなしを」と心に誓っていた。
しかし、近年は駅構内の売店が充実し、趣向を凝らした駅ナカビジネスも花盛りだ。弁当や飲み物を事前に買い込んで列車に乗る客が大半になった。車内販売の売り上げはこの数十年間で激減したという。
現在、くろしおで車内販売を担当するのは小牧さんを含め13人。それぞれに世間話をするなじみの常連客がいる。小牧さんにも「お疲れさま」「今日は盛況で、(自分の所まで)来るのに時間がかかったね」などと何気ない会話を交わす常連客がいる。ささやかなことだが、乗客とのこうした心の通った交流が仕事を続ける大きな励みになっていたという。
「列車旅ならではの旅情を感じてもらえるよう、最後まで真心を込めて仕事に臨みたい」。その思いを胸に最後の13日まで列車に乗る。
◇
新幹線を除き、特急電車の車内販売は、廃止される路線が増えている。JR東海も2013年、在来線のすべての特急で廃止した。JR東日本では、くろしおと同様、今月13日をもって乗車時間が比較的短い「成田エクスプレス」(成田空港―首都圏)、「フレッシュひたち」(上野―いわき)で車内販売を終了する。ただ、「草津」(上野―万座・鹿沢口)や「踊り子」(東京―伊豆方面)など車内販売がある路線も一部で残っている。
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- 13日で車内販売が終了する特急くろしお(和歌山市のJR和歌山駅で)