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ミドリガメ 脅威の繁殖
環境省が生態系を脅かす外来種として輸入禁止などの検討を進める北米原産のミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)の実態が明らかになりつつある。神戸市立須磨海浜水族園(同市須磨区)による調査で、川や池といった淡水に生息するカメ類に対する割合は約4割を占めた。今後爆発的に増える恐れがあり、対策は急務としている。(萩原隆史)
◇捨てられ4割に
ミドリガメは1950年代にペットとして輸入が始まった。安価で人気があり、輸入量はピークの90年代には年間100万匹に上った。最近も20万匹程度が毎年輸入されていると推定される。成長すれば体長は約30センチになり、飼うのに困って野外に捨てられたカメが国内の川や池で繁殖する例が各地で相次いでいる。
- ミドリガメの飼育研究施設「亀楽園」で生態研究を続ける亀崎さん。「国内での生息実態の解明に向け、研究すべきことは多い」と語る(神戸市立須磨海浜水族園で)
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同水族園では、カメ類研究者で前園長の亀崎直樹さん(58)らが2010年以降、主に西日本での生息状況を継続的に調査してきた。
これまでに、静岡県から沖縄県までの46地域683か所の川や池でカメ類計4677匹を捕獲して調査。ミドリガメの割合は40・2%に上り、最多のクサガメ(44・1%)に匹敵するほど多いことが分かった。日本固有種のニホンイシガメは13・8%にとどまった。
ミドリガメの割合が高いのは▽鹿児島県・沖永良部島(98%)▽福岡県・筑後平野(93%)▽静岡県東部(90%)――など。調査地域の3分の1にあたる15地域で、捕獲したカメ類の過半数を占めた。一方、確認されなかったのは、滋賀県南部や和歌山県中部など7地域だけだった。
亀崎さんは調査前、野外での生息割合は、その地域の人口密度に比例すると考えていたという。「都市部の方が、飼う人も捨てる人も多いと考えた」からだ。
ところが調査結果からは、人口密度にかかわりなく高い割合で生息する地域が多いことも判明。清流で知られる四万十川周辺(高知県)や熊野川下流(三重県)でも8割を超えていた。亀崎さんは「都市部以外で割合が高い地域は、繁殖しやすい環境なのかもしれないし、売れ残るなどしたカメが大量放棄された可能性もある」と指摘する。
◇3倍多いメス
同水族園は5年前、ミドリガメの生態研究と駆除後の収容を兼ねた飼育研究施設「亀楽園」(面積約90平方メートル)を開設した。調査で捕獲したり、市民が駆除したりしたミドリガメを最大約2000匹収容し、展示するユニークな施設だ。
これまでの研究によると、原産地の北米や、日本と同様に野外で繁殖している台湾ではオスの比率がメスより高いが、日本では逆に、メスがオスの約3倍も多いことが分かった。詳しい理由は不明だが、ミドリガメの性は孵化(ふか)時の温度で決まるとされることから、日本の環境ではメスになる割合が高い可能性があるという。
繁殖期には、成熟したメスの7割が卵を宿すことも確認され、亀崎さんは「卵を産むメスが多いだけでなく、原産地にいるワニのような天敵もいない日本は、大幅に増える土壌だと言える」とし、駆除などの対策強化を訴えている。
◇食害急増駆除も
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ミドリガメは雑食性で、水草や魚、エビ、水生昆虫などを餌にする。ニホンイシガメとは越冬や産卵の場所が競合する上、一度に20個以上の卵を産むこともあり、産卵数6個程度のイシガメを駆逐する形で生息範囲を広げているとみられる。
生態系への影響は、不明な点が多いが、徳島県鳴門市では特産のレンコンが食い荒らされる被害が出ているほか、篠山城跡(兵庫県篠山市)や彦根城(滋賀県彦根市)では堀を彩るハスが食害で急減し、地元自治体が駆除に乗り出すなど、各地で問題が起きている。
環境省は、オオクチバス(ブラックバス)などのように輸入や販売、飼育を禁止する外来生物法の「特定外来生物」指定に向けた検討を進めている。規制に伴い、多くのペットが野外に捨てられる恐れがあるため、段階的な規制導入も視野に入れている。
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