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単身赴任者にも春 都内自宅へ時間短縮

 単身赴任者にも春 都内自宅へ時間短縮

 

「ゆっくり過ごせる」

 

  北陸新幹線があす14日に開業する。富山―東京を最短2時間8分で結ぶ新幹線は、首都圏に家族を残して県内で暮らす単身赴任者にとって、休日に家族と過ごす時間を長くできる心強い味方となる。家族と離れて働くサラリーマンにも、待ちわびた“春”がようやく訪れる。

  • 新幹線で自宅に帰るのを心待ちにしている鈴木さん(黒部市内で)
  •   「いつもより1時間、出発を遅らせることができる。家族とゆっくり過ごせるのが楽しみです」

      東京都稲城市の自宅に家族を残し、黒部市のアパートで単身赴任生活を送る建材製造「YKK AP」の鈴木彰さん(51)は、北陸新幹線の時刻表を眺めて笑顔を見せた。開業後の今月下旬、長男(6)が通う保育園の卒園式に合わせ、黒部宇奈月温泉駅から新幹線「はくたか」を使って自宅に戻る予定だ。

      鈴木さんは一昨年9月、YKKグループが「技術の総本山」と位置づける黒部市に転勤した。「YKK AP」購買部の生産購買室長としての仕事には誇りとやりがいを感じている。ただ、都内の自宅に妻の好美さん(38)、中学1年生の長女(13)、長男の3人を残しての生活は「やはり心配」という。

      今年1月、長男がインフルエンザにかかったと知らされたが、遠く離れた黒部市から無事を祈るしかなかった。都内の中学校で国語講師として働く好美さんは、仕事を休むことができず、まだ幼い長男を1人家に残し、後ろ髪を引かれる思いで出勤した日もあった。鈴木さんは「心配で毎日電話して様子を確かめていた」と話す。

      鈴木さんはこれまでも月1回、金曜日の仕事が終わった後に東京の自宅に戻っていたが、在来線特急「はくたか」に飛び乗り、越後湯沢駅で上越新幹線に乗り換えても、都内の自宅までは4時間半以上かかった。「黒部と東京の間の往復は、肉体的にも精神的にも負担が重かった」と振り返る。

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