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片岡家文書 地域史500年

 片岡家文書 地域史500年

 ◇20代当主、目録作成 宇陀で公開

  宇陀市大宇陀にある重要文化財・片岡家住宅に伝わる古文書約1万1000点を、同家20代目当主の片岡彦左衛門さん(88)が10年前から分類し、目録を作成した。その成果を基に、古文書の一部を公開する展覧会「片岡家文書の世界」が13日、同市文化会館で始まる。彦左衛門さんは「研究者や市民が地域の歴史を深く知るきっかけになれば」と願っている。(岡田英也)

  片岡家は江戸時代初期から大宇陀地域の九つの集落を治めた大庄屋で、年貢の課税や代官所の通達などを知らせる「役所」としての役割を明治まで果たした。同住宅の蔵には室町時代から近現代まで500年間の文書が残っている。

  特定郵便局長を引退した彦左衛門さんは10年前、「先祖がどのような暮らしや仕事をしてきたのか知りたい」と思い立ち、毎日蔵に入って5、6時間をかけて古文書の年代や内容のリスト化を進めた。虫食いなど劣化した文書もあり、修復しながら、参考書を手に独学で読み込んだ。

  2012年からは市教委などが彦左衛門さんの目録に基づき、内容の確認や写真撮影など本格的な調査を進めた。戸籍や年貢関連など行政文書が大半を占めるが、豊臣秀吉が行った太閤検地の帳面や、江戸後期に大坂で起こった大塩平八郎の乱に関する通達に返信した「請書(うけがき)」もあった。

  彦左衛門さんが最も印象に残っているのは、生活が苦しかった農民から女児を片岡家が引き取ったことを示す江戸中期の文書。年頃になった女児を「片岡家の娘」として嫁入りさせた内容が記されていた。

  彦左衛門さんは「使用人ではなく、家族の一員として迎えたのだろう。困った人のために損得を言わなかった祖先の姿が様々な文書から思い浮かんで誇りに感じた」と話した。

  柳沢一宏・市教委文化財課主幹は「500年という長い期間途切れなく文書がそろっているのは珍しく、大和における当時の支配体制が分かる」と評価する。

  展覧会は江戸時代を中心に約80点の文書を公開する。4月13日までで午前9時~午後5時(火曜休館)。入場無料。問い合わせは市教委文化財課(0745・82・3976)へ。

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