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プロに学べ! 鉄道写真の撮り方 (8) 初めての雪中鉄道撮影その1-雪にオートは通用しない
真冬に挑戦したいのが雪の鉄道写真。しかしその露出は難しく、鉄道写真の場合にはシャッタースピードの制約も加わる。更に、寒さの中での試し撮りとモニター確認、列車待ちは、驚くほどバッテリーと体力を消費する。今回は雪の中での撮影の基本について、真島満秀写真事務所所属で雪国出身でもある笠原良さんにうかがった。
雪の持つ”明るさ”を理解し、経験を積む!
雪を白く美しく撮影するポイントは、露出である。基本は「同じ景色、光線で雪がない場合より絞る」ことである。そして鉄道写真の場合、露出は被写体ブレしないシャッタースピードを決めた後、”絞り”で調整することになる。
豪雪地帯として知られる山形県の陸羽西線で撮影
上の写真は、日没直前にシャッタースピード250分の1という鉄道撮影としてはギリギリの数値(通常は500分の1以上)で撮影された。絞りは選択の余地なく開放のF2.8。走行中の列車を撮る数値としては例外的だが、何シーズンも雪にチャレンジしてきた笠原さんは「イケる! 」と思ったそうだ。
笠原さんが、雪と列車の撮影の難しさと楽しさに気づいたのは学生時代。実家がある富山のお立ち台(有名撮影地)で、「雷鳥」号をリバーサルフイルムで撮影したときのこと。「それまで、カメラの”オート”という機能をすっかり信用していたんですが、大失敗したんです」。その写真は、雪が暗いグレーになってしまったのだ。「”オート”の機能が雪を明るい光源と判断して、必要以上に”絞り”を絞ってしまい、雪が暗い色になってしまったんですよ」。
これがきっかけで”オート”と決別した笠原さん。マニュアルで試行錯誤するうち、雪や空、構図の条件がいいと、薄暗い時間帯でもかなり明るく撮れることに気が付いた。それを利用したのが先ほどの写真なのだ。
「今でも雪を撮影するときには、仕上がりを予想できない楽しさがあります。プロはそれじゃいけないのかもしれないけど……」。
笠原さんが少し言い淀んだ意味を解説しよう。真島写真事務所は、フイルムカメラで撮影する技術と緊張感を重んじていて、無駄撮りを嫌う。シャッターを押す前に完璧な仕上がりを予想するのは、暗黙の約束なのだ。厳しい!
先ほどの1本後の列車。雪がないとどれほどの暗さになるか、想像してみよう
雪こそ、ネガフイルムの出番!
我々素人は、無駄撮りもいっこうに構わない。デジタルならば試し撮りをして、調整すればいいと笠原さんは言う。そうなると必要なのが、防寒とバッテリー。下のイラストを参考に準備して欲しい。
「まあ、雪の色をきれいに撮るのに一番いいのは、ネガフイルムで撮って、焼きで調整することですね」と笠原さん。フイルムカメラをお持ちの方は、是非積極的に使い分けて欲しい。ちなみに、「青春18きっぷ」のポスター写真も、ネガフイルムで撮影されている。新しい技術に踊らされずに、写真の原点ともいえるネガをお忘れなく。
ネガフイルムで撮影した成功例
筆者撮影。カメラは20年以上愛用している単焦点で、ノーブランドのコンパクトカメラ。プリントは普通の”同時プリント”。たまたま行ったローカル線にドカ雪が降った。デジカメも持っていたが、あえてネガで撮った自分のセンスの勝利だ! 自画自賛失礼(笑)。