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口コミで探る旅行トレンド (2) 行列のできる世界の汚いホテルとは?
こんにちは、旅の口コミサイト「トリップアドバイザー」の三橋です。さて、トリップアドバイザーは1月に、世界中のユーザーの口コミ評価をもとにした、恒例の「世界の汚いホテル」ランキングを発表しました。マイコミジャーナルをはじめ、いくつかのメディアにも取り上げていただいたので、目にした読者の方も多いのではないでしょうか。また、記事をきっかけにブログやmixiの日記でも数多く取り上げていただきました。そこで今回は、ブログや日記で見かけた、皆様のご意見や疑問もふまえて、なぜ汚いホテルがそれなりに繁盛し続けているのか考えてみたいと思います。
トリップアドバイザー 三橋竜二
新聞記者、雑誌編集者を経て、フリーのトラベルライターに。アジアや太平洋の島々を中心に旅行雑誌やガイドブックなどに記事を執筆。2009年より、トリップアドバイザーで広報を担当。旅の楽しさを伝えるために、日々データと格闘中。いつかイースター島に行くのが夢
もっと汚いホテルはたくさんある?
ブログなどでよく見かけたのが「それほど汚くない」「もっとひどいところに泊まったことがある」といったご意見。私自身も学生時代にタイやインドネシアで、ベッドにシーツがないどころか、破れたマットレスからスプリングが所々顔を出している、というような安宿に泊まったことがあり、アジアの汚いホテルの実力はこんなもんじゃないぜ、と思わないでもありませんでした。
では、なぜこれらの宿泊施設がランキングには登場していないのでしょう? これは、ランキングの集計方法に秘密があります。トリップアドバイザーでは口コミを投稿していただく際、5段階でのホテルの総合的なレイティング(評価)のほかに、「価格」「客室」「立地」「サービス」「清潔感」の5つの項目に関しても個別に評価をしていただいています。今回の汚いホテルランキングでは、このうちの「清潔感」の評価が低いものを、独自の計算方法(平均値だけでなく、投稿数や投稿の新しさ、信頼度なども加味)で集計したものですが、当然、ある程度の口コミ投稿がなければランクインしません。となると、上位にランクインしたホテルはある程度宿泊者の多い、それなりに繁盛しているホテルということになるのです。
廃墟マニアも喜びそうな「汚いホテル」全米6位の「ニューヨーク イン」
行列のできる「汚いホテル」の3つのポイント
では、多くの宿泊者が汚いと評価しているにもかかわらず、それなりに繁盛しているホテルというのは、どのようなホテルなのでしょうか? 口コミを見ながら、ランキング上位のホテルの特徴を分析してみたいと思います。
1)立地がいい
汚いホテルランキングに入ったホテルの口コミを見ていて気づくのが、「立地」に関して評価の高いホテルが多いことです。昨年全米一汚いホテルに選ばれた「カーターホテル」などもこの典型で、タイムズスクエアまで徒歩30秒と、マンハッタンのど真ん中に位置しており、根強いファンが多いホテルでもあります。実際にトリップアドバイザーのレイティングでも、「立地」の項目では、最高の5つ星がズラリと並んでいます(もちろん他は散々ですが……)。
また2年連続アジアでランクインを果たしたインド、ニューデリーの「セントールエアポート」は、インディラ・ガンジー国際空港に隣接するホテル。翌日の早朝便に乗るためや、乗り継ぎの待機時間で利用している旅行者が多いようで、とある口コミでは「翌日のフライトが早朝のため、空港に近いホテルに泊まる必要がありました」と予約した理由を説明した後、こう締めくくられています……「もし地獄にホテルがあるなら、こんな感じだろう」。
カーターホテルのトイレには「いいのは立地だけ」との落書きも
2)宿泊費が安い
当然と言えば当然ですが、ランキングに登場するホテルの宿泊費は、総じて安いところがほとんどです。1泊の料金は、アメリカのトップ10で8,000円前後、アジアで6,000円前後で、同一エリアの他のホテルと比較しても、安いところが多いようです(安宿ばかりかといえばそうでもなく、1泊15,000円を超えるホテルもいくつかランクインしています)。
ただ、これらのホテルは料金が安いものの、それに見合った価値は提供されていないと判断するユーザーが多いようで、トリップアドバイザーのレイティングの「価格」の項目では、決して高い評価ではありません。例えばアジア2位の「ラジャ レジデンシー」など、1泊2,000円ほどにも関わらず、ほとんどが1つ星の評価。アメリカの1位に選ばれた「ヘリテージ マリーナ ホテル」は、サンフランシスコの便利な場所にありながら1泊100ドルという低料金ですが、口コミでは「ほんのもう少しお金を出して、ほかの所にとまるべき」という意見も。そのホテルが提供する価値と比較して、安いとはいえないようです。
3)パンフレットやウェブサイトが魅力的
最近、欧米のユーザーの口コミで目にするのが「photoshopped」という単語。要するにカタログやウェブサイトの写真がフォトショップで修正されている、という意味で使われているのですが、今回の汚いホテルランキングの口コミでもしばしば目にしました。例えばアジアの1位に選ばれた「ピピドン チューキット リゾート」には「ホテルのパンフレットは完全にフォトショップで修正されているか、リゾートができた日に撮影されたものだ」「タイのホテルのパンフレットがフォトショップで修正されているのはよくあることだが、旅行会社の壁に貼ってあったこのホテルの写真は、実際とは似ても似つかないものだった」といった口コミが投稿されています。
ほかにも、ランキング上位のホテルの多くに、予約した理由として「ウェブサイトで確認した部屋の写真はとてもきれいだった」「パンフレットを見て、値段から比較してよさそうだった」などの口コミを見ることができます。
フォトショップで修正するのも大変そうな「ピピドン チューキット リゾート」
汚いホテルを予約しないために
以上のように、「立地がよく」「価格が安く」「パンフレットやウェブの写真がきれい」なホテルなら、予約が絶えないのも納得。口コミに、現地について失望したというユーザーの嘆きが溢れているのも当然かもしれません。では、どうしたらホテルの善し悪しを事前に見分けることができるでしょう? インターネットで口コミを確認し……では、あまりにも手前味噌なので、ここでちょっとしたアイディアをお教えしたいと思います。
これらの汚いホテルへの口コミで、もう一つ顕著なのが、予約の電話をした際の対応が悪かったり、メールへの返信が遅かったり、といった苦情です。一方で、サービスの評価の高いホテルでは、予約を入れた際に丁寧なお礼のメールが届いたり、質問欄に入れたコメントに丁寧に回答してくれたり、といった口コミが目立ちます。そこで、ちょっと気にかかるホテルがあった場合、予約の前に質問のメールを送ってみてはいかがでしょう? 言葉の問題はありますが、例えば最寄りの駅や空港からの送迎や、客室のインターネット環境や電源についてなど、一般的なことなら、メールもそれほど難しくないはずです。また、返事のメールも、回答の内容よりもその返答の姿勢(返事の早さや文章の量)から、ある程度ホテルのホスピタリティが伺えるのではないでしょうか?
さて、今回の汚いランキングに選ばれたホテルの口コミの中には「値段から考えて相応」「安く旅行したい人にはおすすめ」といった意見が見られのも事実です。とにかく数時間寝るだけなのだから便利で安ければいい、という選択肢ももちろんありえることです。とはいえ多くの旅行者のみなさんにとって、ホテルでの快適な時間は重要なことと思います。せっかく休暇に出かけた旅行で、余計にストレスがたまった……なんてことにならないためにも、できるだけ複数の情報源を比較してホテル選びをされることをおすすめいたします。