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画質改善、そしてスリム化
Samsung電子とLG Philips LCDの2社が、こぞってワンランク上のLCDパネルを発表している。画質改善およびスリム化されたノートPCやテレビが、2008年には続々と登場する見込みだ。
ノートPCも画質にこだわる時代に
Samsung電子は、画面サイズの比率が16:9のワイドLCD、および「アクティブLEDバックライト」を搭載したLCDの2種類のノートPC用LCDを開発したと発表した。
16:9のワイドLCD製品には、16インチHDパネルと18.4インチフルHDパネルの2つがある。これまで16:9といえば、主にテレビ用LCDでよく使われていたサイズ比率だが、これをノートPCに適用すれば大きく画質が改善されることとなる。
16インチLCDで16:9の映像を出力してみると、既存の画面サイズ比率が16:10の15.4インチLCDよりも、114%程度拡大された画質の映像を鑑賞できる。18.4インチの場合でも、19インチ画面と同等サイズによる映像鑑賞が可能だ。
また同製品では「一般的に40 – 50%程度」(Samsung電子)というノートPC用LCDのカラー再現率を、16インチでは60%、18.4インチでは90%まで上げている。800:1の明暗比や、8msの応答速度、26万2,144カラーなど、テレビに劣らない性能を持つ。これらの製品は2008年上半期中に量産される予定だ。
Samsung電子ではさらに「アクティブLEDバックライト技術」を適用した、15.4インチのLCDも開発している。
これは映像コンテンツによりバックライトを制御するという技術で、消費電力を少なくできるのが最大の特徴だ。バックライトを制御するとはつまり、明るい場面ではバックライトの明るさを上げ、逆に暗い場面では明るさを下げるという仕組みで、これにより「一般のLED製品より最大40%以上」(Samsung電子)の節電が可能になる。
バックライトはコンテンツによっては消えることもあるため「一般のノートPC用LCDの10倍レベル」(Samsung電子)という、10,000:1の明暗比が実現する。このほか1,440×900の解像度、300nitの輝度などを実現する。同社ではアクティブLEDバックライト技術を適用した製品を、2008年下半期に量産する予定だ。
Samsung電子がこうした製品を開発した背景には、ノートPCを活用するにあたってエンタテインメントコンテンツ利用の比重が高まっているという、最近の利用傾向がある。Bru-rayやHD DVD、モバイル用テレビ放送に対応した機種も増えていくことが予想される今、よりきれいに映像を見たいという市場のニーズに応えた形だ。
右は既存のLEDバックライトを搭載したパネル、左は今回開発されたアクティブLEDバックライトを搭載したパネル
16:9のワイドLCDのスペック(Samsung)
18.4インチ16.0インチ
フルHD: 1,920×1,080HD: 1,366×768
262,144262,144
300nit220nit
90%60%
800:01:00800:01:00
8ms8ms
140/135140/135アクティブLEDバックライトを搭載したLCDのスペック(Samsung)
15.4インチ
WXGA: 1,440×900
10,000:1(最小)
120/all around
300nit
45%
2.0W以下薄型進むテレビ画面
LG Philips LCDが開発したウルトラスリムLCDパネル(左)を、既存の35.5mmのモデル(右)と比較しているところ
LG Philips LCD(以下、LPL)は、厚さが19.8mmというテレビ用の42インチパネル、「ウルトラスリムLCDパネル」を開発した。
LPLによると、現在商用化されている42インチパネルと比較した場合、今回の製品は厚さ40%、重さは10%程度低減されたものになるという。フルHD対応で、動画の画質改善技術も適用している。
バックライトには「スリム化しやすいが、高価で技術の完成度がいまひとつ」(LPL)というLEDではなく、現時点で多くの製品に使われている「CCFL(冷陰極蛍光ランプ)」を適用。「価格競争力と製品の信頼度を確保した」(LPL)。
LPLではウルトラスリムLCDパネルを、2008年第1四半期に販売する予定だ。
LPLによると現在のLCDテレビ市場は、大きさや画質に次いでスリム化が加速している状態だという。LPLでも2008年までにスリムなLCDパネルのラインを拡大するほか、さらなるスリム化に向けた開発も行っていく予定だ。
ここまで紹介した製品はいずれも、24日から横浜で開催される「FPD International」で公開される予定だ。一足先にLCDパネルの未来に触れてみてはいかがだろうか。