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脱線車両の復旧作業を間近で見学
京浜急行電鉄はこのほど、京急ファインテック久里浜事業所にて「第27回鉄道事故復旧訓練」を実施した。「重大事故発生時における併発事故の防止と早期復旧」を目標とする毎年恒例の訓練行事だ。
今回の訓練は、一般からの見学希望者を100人募り、関係者を含めた見学者の数は1,250人に達した。万が一、事故が発生した際に機敏な対応が取れることを目的としており、今回は「踏切道内に進入し立ち往生した自動車に、列車が衝突し、脱線する」という設定。ここでは、4つの見学スケジュール「負傷者救出」「車両の脱線復旧」「鉄柱曲損、吊架線断線、信号機倒壊等の復旧」「線路の損傷復旧」のうち、「車両の脱線復旧」にクローズアップしてその様子をお届けする。
現場には、乗用車と接触した1000形4両編成の先頭車両が脱線した状態で置かれている。車号は品川方から1282、1281、1276、1275で、1282車が脱線している。
こちらは京急が配布した資料から抜粋。今回の事故想定では、品川方(上り)電車と乗用車が衝突し、先頭車両が下り線路側に脱線しているという設定だった。
「動作中の踏切道内に進入し立ち往生した自動車に、列車が衝突し、脱線する」という事故を想定し、警察・消防と京急社員が互いに連携をとりながら、救出活動、旅客の降車・避難誘導を行なっていく
繰り返し呼称が印象的
では、脱線した電車を復旧させるシーンを見てみよう。現場での復旧作業には、繰り返し呼称が基本となる。京急では、上り下りの区別を「山側海側」と呼んでいたのが特徴的だ。脱線した先頭車両の前方台車部分にジャッキを潜り込ませて、ジャッキによって車体を上昇させ台車をもとのレール上に載せなおす。ジャッキ操作・指令・ジャッキ確認と、作業員は主に3つの組に別れ、繰り返し呼称しながら慎重に進めていく。この一連の作業の一部分の呼称を記しなが追っていこう。
「山側ジャッキ動作開始。海側ジャッキ動作開始」(ジャッキを車体と合わせる)「海山、車体あわせ開始。あと何mm? あと20mm、上昇」(車体が持ち上がる)「止め、海山ジャッキ確認、空気バネ確認」「海山ジャッキ上昇開始、空気バネ、連結器、ホロ確認」「開始山側へ300mm近づける。横送り山側300mm開始」(車体がスライドする)「横送り止め。これで台車のねじれを確認」(台車とレールの向きを合わせる)「海山ジャッキ同時下げ開始」「山側に横送り50mm開始」(左右のズレを調整する)
台車周りを確認する作業員と、ジャッキ操作をする作業員の間に、現場作業指令員が立ち、常に確認・指示を促していく
事故車両の目立つ位置に、コンパスが置かれる。水平位置を常に確認・維持するためのツールだ