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がん診断、尿1滴で=線虫の習性利用―10年後の実用化目指す・九大など

 がん診断、尿1滴で=線虫の習性利用―10年後の実用化目指す・九大など

 

  体長1ミリほどの線虫を使い、がんの有無を1滴の尿から高い精度で判別することに成功したと、九州大などの研究チームが発表した。早期のがんも発見でき、実用化されれば簡単で安くがん診断が可能になるという。研究チームは「精度の向上などを進め、10年程度で実用化を目指したい」としている。論文は11日付の米科学誌プロスワンに掲載された。

  がん患者の呼気や尿には、特有のにおいがあることが知られており、「がん探知犬」を使った診断手法が研究されている。しかし探知犬は育成に時間がかかり、普及には課題が多い。

  九大の広津崇亮助教と伊万里有田共立病院(佐賀県有田町)の園田英人外科医長らの研究チームは、体内に寄生した線虫アニサキスを手術で取り除こうとした際、未発見の胃がん部分に集まっていたことに着目した。

  研究チームは、実験動物として使われる線虫C・エレガンスを用意。この線虫は犬と同程度の嗅覚受容体を持ち、好きなにおいに集まり、嫌いなにおいから逃げる習性(走性行動)がある。事前の実験で、がん細胞のにおいを好むことが分かった。

  研究チームは健常者218人、がん患者24人の尿を採取。実験皿の上に1滴ずつ垂らし、線虫の走性行動を調べた結果、健常者207人と、がん患者23人を正しく判定した。がん患者をがんと診断できる確率は95.8%に達し、がんの種類や進行度にかかわらず判別できた。

  血液を調べる腫瘍マーカーで、同じ患者らを検査した結果は16.2〜25%だった。

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