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国宝重文に油、被害約40件=「人類の財産、許されない」―関東・四国でも・文化庁

 国宝重文に油、被害約40件=「人類の財産、許されない」―関東・四国でも・文化庁

 

  京都や奈良の寺社で建造物や仏像に油のような液体がまかれた事件は、茨城、千葉、静岡、香川でも新たに被害が見つかり、全国的な広がりを見せている。文化庁のまとめでは、国宝、重要文化財の被害は10日時点で計39件。同庁は都道府県教委を通じて、警備の強化などを求めているが、出入りが容易な場所もあり完全に防ぐことは難しい。担当者は「文化財は日本だけでなく人類の財産。許されない行為だ」と憤りを交えて話した。

  文化庁によると、これまでに国宝12件、重文27件の被害が判明。京都、奈良に加え、鹿島神宮(茨城)、成田山新勝寺、香取神宮(千葉)、三嶋大社(静岡)、金刀比羅宮(香川)でも同様の被害報告があった。橿原神宮(奈良)など文化財指定がない場所の被害もあり、全容は把握できていないという。

  2月に最初の被害が見つかった二条城(京都)では、機械油をスプレーで吹き付けたようになっていたが、3〜4月に発覚した被害の大半は、弧を描くように痕跡が残っており、瓶などに入れた液体を振りまいた可能性が高い。時期は定かでないが、長谷寺(奈良)は3月15日から特別拝観を始めた観音像が被害に遭っており、開始以降の防犯カメラ映像を県警に提出した。

  被害を受けた文化財の修復は、溶剤で油分を浮かせて拭き取るなどの方法で行うが、内部に染み込むと完全には除去できず、表面に塗装がある場合はさらに難しくなる。溶剤で傷めないための実験も必要で、費用は原則所有者負担。拝観中止など観光に影響が出ることも考えられるという。

  警備員を増やした寺社もあるが、広い敷地に文化財が点在したり、案内の職員が警備を兼ねていたりしており、完全に防ぐのは難しい。文化庁は補助金を出し防犯カメラやセンサーの設置を進めるが「雰囲気を壊し、参拝者に余計な気苦労を与える」と消極的な寺社もある。

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