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被爆者の体験、後世に=「伝承者」が活動開始-原爆投下から70年・広島
被爆者の新井俊一郎さん(左)に伝承者の認定通知を見せ、決意を語る宮本憲久さん=25日午後、広島市中区
被爆者の体験を語り継ぐため、広島市が2012年度に養成を始めた「伝承者」が4月、活動を開始する。その一人、宮本憲久さん(67)=同市西区=は「歴史から学ぶことは大事。核兵器の恐ろしさが忘れ去られないよう、語り続けるのは使命だ」と話す。原爆投下から70年、被爆者の高齢化が進む中、新しい語り部の誕生に期待がかかっている。
宮本さんが受け継ぐのは、13歳のときに広島で入市被爆した新井俊一郎さん(83)=同市南区=の体験。新井さんは学徒動員先から広島市内の自宅に向かう途中、遠くに原爆の閃光(せんこう)を目撃した。歩いていると、全身にやけどを負い、指先から皮膚を垂らした人たちが次々と道ばたで倒れていった。
戦後、新井さんは「生き残ってしまった」という負い目を感じ、10年ほど前に孫から聞かれるまで、体験を話すことができなかった。「伝承者には証言者から聞いた怒りや悲しみ、感動や苦しみを自分の言葉で伝えてほしい。借り物では伝わらない」と思いを託す。
伝承者の研修は3年。始めに、広島平和記念資料館(原爆資料館)で被爆者の講話を聞き、受け継ぎたい相手を探す。宮本さんは、「多くの人が逃げる中、地獄絵図の広島に入って行き、その様子を見た人は少ない。やっと語れた体験をつないでいきたい」と新井さんを選んだ。
研修では、原爆が落とされた直後に見た光景、被爆前後の生活や苦悩を細かく聞き取った。原爆投下日に新井さんが歩いた場所も巡った。「追体験で自信が芽生えた。新井さんの体験をより深く理解できた気がした」と話す。
宮本さんが応募したのは、被爆2世としての義務感からだった。しかし、今は「継承の大切さを実感している。一生、伝えていきたい」との思いを強くしている。
この春、伝承者となるのは30~70代の男女51人。伝承者による講話は4月下旬から原爆資料館で始まる予定だ。