＜再生医療＞他人の細胞の利用促進で情報発信や仲介検討

　

　再生医療製品の原料となる他人の細胞の利用促進について、経済産業省の有識者研究会は２６日、社会への適切な情報発信や、採取時の医療機関の負担を軽減する仲介機関が不可欠などとする報告書をまとめることで合意した。経産省は４月中に報告書を発表し、具体的な体制整備に向けた検討を始める。
　
　　再生医療製品の原料は、主に患者本人の細胞と他人の細胞の２通りがある。後者はコストが抑えられるなどの利点があるが、研究開発用は輸入に頼っているのが現状だ。
　
　　研究会は、手術などで摘出し、通常は捨てられる皮膚や脂肪、歯、軟骨、臍帯血（さいたいけつ）などの細胞を想定して、国内で調達する際の課題を整理した。経産省によると、報告書では、ヒトの細胞から製品を作り、利益を上げることへの抵抗感が障害となる可能性があると指摘。利益が再投資され、より優れた製品の開発につながることを情報発信していくことが重要だと明記する。
　
　　また、手術で摘出された組織や細胞を保管・管理し、再生医療企業に譲渡する仲介機関の必要性を指摘し、提供者と医療機関、企業などの関係者間で契約を結ぶ際、明確にすべき権利や責任の範囲も示す。【須田桃子】