＜岡山大病院＞小走りも…両肺移植手術女児が１１日に退院

　

　大阪大病院で１月に脳死と判定された６歳未満の女児から両肺の提供を受け、岡山大病院で移植手術を受けた１０歳未満の女児が１１日に同病院を退院する。酸素ボンベが不要になり、ボールを投げたり、小走りしたりできるまでに回復。退院後は地元の関東地方の病院でリハビリなどを続ける。父親は「治らないと思っていた。提供者のご両親に敬意を覚える」と感謝している。
　
　　女児は生まれた時から呼吸障害があり、外出時は父親が６キロもある酸素ボンベを背負い、女児をベビーカーに乗せて移動。２０１３年春には病状が悪化して一時心肺停止状態になり、学校にも行けなくなった。自宅でトイレまで歩くのも苦しく、母親が抱いて連れて行ったという。
　
　　１３年夏、肺の奥にある肺胞の壁が炎症で硬くなりガス交換ができなくなる「特発性間質性肺炎」と診断され、１４年１０月にドナー登録した際には余命１年と宣告された。父親からの生体肺移植を検討していたところ、心臓の病気で移植を待っていた６歳未満の女児が脳死状態となり、両親が「同じ気持ちの方に光をともしたい」と提供を申し出た。６歳未満の脳死判定は国内３例目だった。
　
　　父親は「ご両親の決断の大きさを、同じ親としてすごいと思う」と話し、女児は「退院したら学校に行きたい。おじいちゃんに黄色い自転車を買ってもらう」と声を弾ませている。【五十嵐朋子】