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洲本5人刺殺 「異変気づければ」地元に後悔…ネット上の中傷に戸惑いも
兵庫県洲本市の5人刺殺事件で、被害者側の家族は市役所の法律相談を利用したり、警察にパトロールの強化を求めたりするなど以前から助けを求めていた。一方で、逮捕された平野達彦容疑者が引きこもっていたことを把握する住民は少なく、地元では「異変に気づいていれば」と悔やむ声があがった。小中学生のころの友人まで標的にしたインターネット上の中傷行為に戸惑いも広がっている。
「地域のつながりが深い場所だけに、迷惑をかけないように気をつかって警察や行政にしか助けを求めなかったのかもしれない。相談してくれていたら、みんなで支えてあげることもできたかも…」。現場近くに住む無職女性(51)はうなだれた。
女性は最近パトカーがよく通るようになったのに気づいていたが、「ただの巡回」と思っていたという。
住民らによると、平野容疑者は小中学生のころは活発で、友人と一緒に釣りに出かけたり、ラジオコントロールで遊んだりしていた。父親も地元のボランティア活動に積極的で、「犯罪とは無縁の家族」と考える住民は多かった。
平野容疑者と息子が同級生という男性は「自宅に行っても、父親は家庭で問題を抱えている様子をまったく見せなかった」と話す。
だが実際は、平野容疑者は数年前に転居した兵庫県明石市から最近、洲本市に戻り、自宅の離れで1人で暮らしていた。
ネット空間で被害者らを中傷する一方、たまに外出することもあり、昨年8月に明石市内で開かれた集会では、平野容疑者とみられる男が「電磁波攻撃が行われている」と意味不明な発言をして、出席者を困惑させた。
中傷の対象となっていたのは事件の犠牲者5人だけではなかった。地元で建設業を営む男性(59)は、氏名や会社の住所、電話番号とともに、「この会社にインターネットドメインを奪われ、お祖父(じい)さんやお祖母(ばあ)さんが暗殺されています」と書き込まれた。平野容疑者とは面識がなく、「(中傷される理由に)まったく心当たりはない。気持ち悪いし、怖い」と不快そうだった。
平野容疑者と地元の小中学校で同級生だった男性(40)は、ネットで中傷されていることに気づいておらず、驚いた様子で父親(72)に「中学卒業後、どうしていたのか知らない」と話したという。