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<政治とカネ>品代・電子マネーの闇 具体的使途わからず
安倍晋三首相の政権下で昨秋「政治とカネ」の問題が浮上したのは、小渕優子前経済産業相の政治団体による不適切な政治資金の支出発覚が発端だった。事務所費でベビー用品、組織活動費でネギなどを購入し、後援会による観劇会の費用負担についても不透明さを指摘され、東京地検特捜部に刑事告発された。こうした政治資金の「使途」の中には何を購入したか全く分からないものがある。
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その一つは「品代」とのみ領収書に書かれた支出だ。小渕氏の資金管理団体「未来産業研究会」について情報公開請求で入手した領収書によると、小渕氏は銀座の高級雑貨店と大手百貨店で2009~12年に計24件、476万円余を品代として支出。1回の最高額は50万円を超えるが、いずれの領収書にも購入品目はもちろん、売り場の記載すらない。
同様に領収書は有りながら使途が不明なものに、大手コンビニチェーンなどが発行し買い物や食事などに使える電子マネーがある。小渕氏の12年分の少額領収書(1万円以下)を別途請求し確認したところ、資金管理団体は同年に9回、計9万円を電子マネーのチャージ代に支出しているが、そこから先はたどれない。小渕氏の事務所に説明を求めたものの、「捜査中につき回答は控えたい」との返事だった。
鉄道各社が発行するICカードも、コンビニや自販機など幅広く利用できる。安倍首相の資金管理団体「晋和会」の少額領収書によると、10~12年の3年間で約80万円をICカードのチャージ代として支出していた。だが、乗車履歴の印字など添付資料はなく、これも正確な使途をたどることはできない。
有識者でつくる総務省の政治資金適正化委員会は08年10月、交通系ICカードについて「交通費として使用する場合」を前提に「チャージした時点の支出のみ」を政治資金収支報告書に記載すればよいとの見解を出した。政治団体の「隠れた財布」になる可能性を事実上容認しているとも言える。こうした問題意識を安倍氏の事務所に投げかけたが、「政治資金規正法にのっとり適正に処理している」との回答だった。
政治資金に詳しい神戸学院大大学院の上脇博之教授は「支出内容を具体的に記載しないのは、政治資金規正法1条の『国民の不断の監視』を妨げる。本来は総務省などが使途の明確化を指導すべきだが、政治家に気を使って言わない。政治資金が潤沢になればそれだけ無駄遣いに対する意識も下がるので、企業団体献金などを禁止して収入を制限するのも対策の一つだ」と話した。【高橋慶浩】