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<紙おむつ>1枚売りインドネシアでヒット ユニ・チャーム

 <紙おむつ>1枚売りインドネシアでヒット ユニ・チャーム

 ユニ・チャームがインドネシアで販売している乳幼児用紙おむつは、シェア約66%(2014年末)と親たちから圧倒的な人気を集めている。
 
  紙おむつの販売を現地で始めたのは2000年。当初は富裕層向けの高級品だった。同国では乳幼児に布製のパンツをはかせるため、1日に何度も洗濯する必要があった。使い捨てで吸水性に優れた同社の紙おむつはあこがれの存在になったものの、通常タイプの約30枚入りで約12万ルピア(約1200円、1枚あたり約40円)と、平均月収1万円程度の庶民には高根の花だった。
 
  同社は海外でも幅広い消費者に向けた商品を強化しようと、01年に戦略を転換。まず、市場規模が大きい同国で取り組みを始め、品質を維持したまま、価格を下げることを目指した。おむつの内側の軟らかさは残し、外側だけ別素材に変えたほか、製造現場には低速だが割安な機械を導入し、設備投資を通常の5分の1に抑えた。広告宣伝費も圧縮して、テレビCMもやめた。この結果、1枚2000ルピア(約20円)と従来品の半額の「マミーポコパンツ・スタンダー」が完成。開発を担当したベビーケアSBU部長の石井裕二さんは「考えられるだけの不要なものを、徹底的にそぎ落とした」と振り返る。
 
  インドネシアでは、大型のショッピングセンターではなく地域の小規模な売店で買い物をするのが商習慣で、一度に多くのお金は使わない。このためおむつを1枚ずつで売ることにした。
 
  07年12月に発売すると、初日から飛ぶように売れた。店主らが「庶民の味方だ」と、多くの注文を出してくれた。品質の良さが口コミで伝わり、初年の販売額は計画を7割も上回った。石井さんは「良い紙おむつが誰でも使えるように、という理念に、流通関係者の共感が広がったことが大きかった」と語る。高級路線からの転換が功を奏したのだった。【宇田川恵】
 
  ◇アジアのシェア第1位
 
  ユニ・チャームは日本国内では1981年から乳幼児向け紙おむつの製造・販売を開始し、「ムーニー」「マミーポコ」の2ブランドを展開。海外では84年の台湾を皮切りに、約80カ国・地域で「マミーポコ」を中心とした商品を販売している。2014年の世界シェアは9.1%と、米P&G、米キンバリー・クラークに次ぎ第3位。アジアでは25.2%で、世界大手の中で首位に立っている。

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