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<海保>初の女性署長誕生とその背景は 「海の男」は過去へ
海上保安庁初の女性署長として中林久子さん(48)が1日、千葉県の木更津海上保安署に着任した。海保は昨年、次長を本部長とする「海上保安庁女性職員活躍・ワークライフバランス推進本部」を設けており、女性活用をさらに進めるという。海保の女性職員の現状を探ってみた。【米田堅持】
【写真特集】多忙で「嫁がほしい」海上保安庁初の女性署長誕生
◇「嫁がほしい」
中林署長は1991年に海上保安大学校(海保大)を卒業した幹部候補の一人だ。約50人いる海保大卒女性のトップランナーだが、海保大最初の女性は80年に入学しており「1期生」ではない。「女性は家庭に」という風潮が根強かったことや、全国転勤が原則で多忙な業務から、家庭との両立を断念して辞めるケースが相次ぎ、これまで女性署長は誕生しなかった。中林署長も2002年から03年まで報道係長だった時は、北朝鮮の工作船事件の広報対応に忙殺されて自宅を片付ける時間がなく、記者たちに「嫁がほしい」と漏らしたほどだった。
海保は男女の区別なく優秀な人材を登用する観点から、転勤時期を出産や子育てに配慮した形にするといった方策を打ち出している。海保大卒の女性海上保安官の中には子育てをしながら警備救難業務の第一線を担う人もいる。また、10年度から始まった元海上保安官の再採用制度では約50人が復帰しているが、その大半は女性で中林署長の先輩となる海保大卒業生も含まれている。
◇エースやエキスパートも活躍
女性海上保安官の採用は1979年から始まった。女性の配属先となる船や事務所にトイレや更衣室、仮眠スペースなど女性専用の設備が必要だったことから当初は配属先が限られていた。また「海の男」という言葉が示すとおり、力仕事の多い海保の現場では専門性が高い分野ほど女性進出に否定的だった時期もあったという。
現在、海保には全体の約6%となる約800人の女性職員が在籍している。巡視船の船長をはじめ、航空機のパイロットや整備士、化学捜査や海洋調査の専門家まで、潜水士を除くほとんどの職種で女性が活躍している。エースやエキスパートと呼ばれる人材も多く、13年9月の海上保安学校卒業者の優等賞受賞者は女性が占めた。海保の現場では「海の男」という言葉が過去のものになる日も遠くはないかもしれない。
◇女性の必要性
政府が女性の登用目標を30%とする中で、海保が20%と控えめなのは、理想の数値目標より現実を直視した結果といえる。14年度の新規採用では女性の割合は18.3%となった。
海保では女性の必要性について、犯罪被害者対策をはじめ、多様化する業務に対応できる人材が必要なことや、男性社会では硬直化しがちな組織を活性化させる狙いがあるという。また、過去には密航事件で女性が数十人乗っていたことから、現場だけでは足りず本部の女性海上保安官も動員して乗り切ったこともあった。
現在、女性職員の70%を20代が占めている。目標達成には、職場環境の整備と彼女たちの定着率の向上がかぎとなりそうだ。