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<被爆建物>広島・長崎登録の2割解体 老朽化、保存策急務
広島、長崎両市に投下された原爆による倒壊を免れ、被爆建物として登録された建造物のうち、約2割に当たる30件が解体されたことが、両市への取材で分かった。5日で完成から100年になった世界遺産・原爆ドームは広島市が耐震化などを進めているが、被爆から70年がたつ登録建物の多くは老朽化や維持費用の問題が深刻で、広島市は改修費などを補助する制度の見直しを始めた。原爆の惨禍を伝えていく被爆建物の保存・活用策が改めて問われている。
広島市は1993年から、長崎市も98年から爆心地からおおむね5キロ以内で被爆した建物を登録し、保存する事業を開始した。爆心地近くは鉄筋コンクリートなど堅牢(けんろう)な建物が目立ち、遠くなると寺社など木造建築もある。両市とも登録した建物の所有者に対し、保存・改修費用の4分の3(上限3000万円)を補助している。
これまで広島市で103件、長崎市で46件の建物が登録されたが、広島で17件、長崎では13件が姿を消した。原爆ドームは世界遺産登録に先立ち国史跡に指定され文化財として保護されているが、財産権がある登録建物の保存に強制力はない。両市は所有者に保存を呼び掛ける立場にとどまる。補助制度は保存を促す役割を果たしているが、登録建物は老朽化が進み、耐震補強など経費もかさむ。
そのため広島市は、補助制度の見直しに着手。爆心地からの距離など建物の特性に応じて整理し、耐震化のため経費の上限額引き上げも検討している。所有者の意向や建物の状況を把握する調査も実施する。
一方、長崎市は2013年に国の登録記念物になった旧城山国民学校校舎などについて、国の支援を得ることを目的に、16年度中の史跡指定を目指している。
被爆建物に詳しい石丸紀興・元広島大教授(建築史)は「民間の所有者に強制はできないが、多くの人から残すよう期待されていることを忘れないでほしい」と話している。【高橋咲子、樋口岳大】
◇現役活用の施設も
広島市は、原爆投下直後の救護拠点となった広島赤十字・原爆病院の建て替えを機に、補助・登録制度を設置した。同病院は登録からは外れたが、補助第1号となり、建物の一部はモニュメントとして残された。
「現役」の被爆建物は多い。爆心地から原爆ドームに次ぐ近距離(170メートル)にある旧燃料会館は、平和記念公園のレストハウスとして活用。旧帝国銀行広島支店は外壁の一部を残し、パン製造販売「アンデルセン」がカフェなどの複合施設として使用している。
広島市が被爆50年を機にまとめた資料によると、1995年度末までに公共施設や銀行など少なくとも59件が解体されていた。長崎市では58年、被爆マリア像で知られる旧浦上天主堂が当初の保存計画から一転して解体され、大きな議論になった。【高橋咲子】