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【コラム】広木隆の「新潮流」- 夫婦
今日、4月22日は「良い夫婦の日」だという。「よい(4)ふうふ(22)」の語呂合わせ。この他、毎月22日が「夫婦の日」、2月2日も「夫婦の日」、11月22日が「いい夫婦の日」、11月23日が「いい夫妻の日」。<「願いが叶う」とか「夢が叶う」っていう類の本がいっぱい出ているけれど、あれはいかにみんなの夢や願いが叶わないかっていう証明みたいなもの>という高田純次の言葉があるが、それに倣えば、これだけ「夫婦の日」があるということは、いかに「夫婦」という関係が難しいものかという証であろう。
「核家族」という言葉があるくらいだから、「夫婦」というのは「家族」の中心であることは間違いない。しかし、最近では東京の渋谷区が同性婚を認めるなど家族というものの形態が変わりつつあるのも事実だ。核家族 - すなわち祖父母・父母・子供といった3世代で暮らしていない家族 - の構成を見ると、80年代までは「夫婦+子供」という典型的なイメージ通りのファミリー世帯が中心を占めていたが、90年代以降は「夫婦のみ、子供なし」と「一人親+子供」という世帯の比率が高まっている。
特に近年、増加が目立つのが「一人親+子供」の世帯だ。「片親+子供」と聞くと、離婚した子連れ世帯をイメージしがちだが、実は高齢化に伴い介護される側・する側で構成される世帯、高齢者夫婦の片方が亡くなって片親と子供だけとなった世帯もここに含まれる。無論、多くは離婚による片親世帯だ。総務省によれば日本のシングルマザーの総数は、2010年度で108万人強。多くは離婚によるものだが、未婚のシングルマザーが最近では急増している。
片親の介護とシングルマザー。まさにこの「一人親+子供」世帯は日本が直面する大きな問題である。もっと直截的に言えば、社会全体でサポートしていかなければならない世帯である。冒頭で、いかに「夫婦」という関係が難しいものかと述べたが、夫婦が揃っているならそれはまだいい。「夫婦の日」をアピールするより、「一人親+子供」世帯にもっと世間の目が向けられるべきである。
家の近所の教会で結婚式を挙げたカップルを目にした。ライスシャワーを浴びる花嫁のウェディングドレスが春の陽光に輝いていた。それを見た娘が僕に尋ねた。
「ねぇ、パパ。どうしてお嫁さんは白いドレスを着るの?」
まともに考えるのが面倒だったから、適当な答えを言ったのがまずかった。
「それはね、幸せだからだよ。」
「ふーん。じゃあ、どうしてお婿さんは黒い服を着ているの?」
広木隆(ひろき・たかし)
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト