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アングル:円安が招きかねない物価高、統一地方選論争に影
[東京 10日 ロイター] – 政府・与党は7年8カ月ぶりの円安に静観の構えを崩していない。しかし、節目とされる120円を突破する円安は、食料品や燃料価格を押し上げ、かえって国民生活をひっ迫させると、野党が攻勢を強めかねない。4月の統一地方選を控え、急ピッチな円安は与野党の政策論争にも影響を及ぼしそうだ。
「完全なリスクオンではないだろう。なぜこんなに円安が進むんだ」──。ある与党関係者は、前週末の米雇用統計が発表されてから、一向に止まらない円安の動きに驚きを隠さない。「日本経済にとっては1ドル=120円、原油1バレル=50ドルがベストミックス(もっとも効率的な解決策)ではないのか。これを超える円安がもたらす影響を聞いて回った」と、別の野党関係者は明かす。
急ピッチな円安進行を横目に、政府関係者は表向き「動向を注視する基本姿勢に変わりない」と、平時モードを崩していない。首相周辺は「(安倍晋三首相はいつも通り)注意深く見守るとは言っているものの、最近は官邸の中ではあまり為替レートの議論にはなっていない」と言う。
痛しかゆしなのは、統一地方選を4月に控えていることだ、と別の関係者は話す。「1ドル=120円というのは十分な円安水準」(国際金融筋)とされる中で、さらに円安だけがピッチを強めれば、食料品や燃料輸入に響く。政府関係者の一人は「地方経済へのトリクルダウン(富が滴り落ちる)はいまひとつ。悲鳴を上げている企業も多い」と語る。
内閣府の試算によると、為替相場が1.0%ポイント円安に振れると、その月の輸入物価は0.8%ポイント上昇する。「為替変動の8割は輸入物価に影響する」(担当者)というわけだ。
4月の統一地方選に向けた政策論議が熱を帯びる中で「円安が食料品や燃料などの『輸入物価』を押し上げてしまっては、かえって地方創生や格差是正を唱える声がかすむ」(地方議員)との声が漏れる。為替相場の行方は、統一地方選にも影を落とす可能性がある。
(竹本能文、梅川崇、梶本哲史 編集:山口貴也)
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