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万引きで狂う人生、偽装動画投稿で少年院送致の判断基準
万引きを装う動画の投稿で少年院送致に少し前、スーパーマーケットなどで商品に爪楊枝を入れ、商品を万引きしているような動画がインターネットに投稿された事件で、動画を投稿した少年が偽計業務妨害罪で逮捕されたことがありました。この少年について、その後、家庭裁判所の審判で少年院送致の決定がなされたと報道されています。
この少年に、なぜ少年院送致の処分がなされたのでしょうか。少年事件においては、記録も審判書も非公開とされていますのであくまで一般論になりますが、この点について考えてみましょう。
罪を犯し、処分を受ける際に満20歳未満の未成年であった場合、刑法ではなく少年法により、家庭裁判所の審判で処分が決められます(なお、一定の場合には成人と同様の裁判を行うことも定められていますが、その場合でも保護処分相当として家庭裁判所に送り返されることがあります)。
多くの少年は審判を経て更生している
少年法はその目的として、「少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行う」としており、刑罰を目的とはしていません。これは、非行を犯した少年も、取り返しがつかない程犯罪に染まっているということは極めて稀で、多くは生活環境や交友関係などを見直すことで、成人の場合よりも立ち直りやすいため、刑罰による処分ではなく、立ち直りに向けた教育を重視しよう、という考えに基づくものです。
筆者も数十件の少年事件を担当しましたが、多くの少年は審判を経て更生しており、少年法の理念は間違っていないと考えています。具体的な処分として、極めて軽微な事件等で審判や処分が必要ないと判断される場合を除き、大きく分けて「保護観察に付する」「児童自立支援施設に送致する」「少年院に送致する」との3つの処分が規定されています。
少年への処分は何を基準に決められるのか?
保護観察処分の場合、少年は一度社会(家庭)に戻され、保護観察所による保護観察として生活指導等を受けながら、生活の立て直しと更生を行うことになります。少年院送致の場合、一定期間(6カ月程度から数年といわれています)少年院に収容し、少年院での集団生活や矯正教育を受けることで更生に向けたスタートを歩み出すことになるのです。
では、この処分は何を基準に決められるのでしょうか。成人の場合、刑法により刑罰の種類・内容が定められていますが、少年法には犯罪の種類・内容に着目して処分を決めるという規定はありません。…