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日本郵政の歪つな上場で忘れられた問題とは?
ついに「郵政民営化」が動き出す――。かんぽ生命保険、ゆうちょ銀行とその持ち株会社である日本郵政のグループ3社が今秋、同時に上場する見込みだ。しかし、歪な巨大金融グループに問題は山積している。
◆日本郵政が今秋にも上場か。政治闘争の末の歪なコングロマリット。その陰で「かんぽの宿」9か所が営業停止に(人気ブログ「金融日記」管理人 藤沢数希氏)
日本郵政は今年の9月をメドに株式の上場を計画している。小泉元首相が掲げた郵政民営化が10年を経て実現されることになる。
日本郵政は、日本郵便、かんぽ生命保険、ゆうちょ銀行の全株式を保有する持ち株会社であり、100%政府が保有している。連結純資産は約14兆円で、メガバンクの平均PBRの0.8倍程度を使うと、時価総額は10兆円を超える可能性がある。
日本郵便以外の3社が同時に上場される見込みで、10~20%程度が売却されるとすると、合計1兆~2兆円程度の株式が売却される。株式を買うための現金は主にほかの日本株を売却してつくられるため需給的には日本株全体への売り材料になるが、GPIFや日銀が買い増している日本株の金額で十分に相殺されるだろう。
⇒【資料】はコチラ http://hbol.jp/?attachment_id=28927
この歪なコングロマリットは、まさに日本の政治闘争の成れの果てだ。
明治時代に欧米の郵便システムを導入しようとした政府が民間人の自宅を借りて郵便局をつくった。これが特定郵便局となり住民との接点が多く、自民党の大きな集票基盤になった。特定郵便局長は世襲され、年収は実質1500万円ほどあった。
郵政大臣だった小泉純一郎は、当時、郵政官僚から嫌がらせを受け、郵便局利権に私怨を募らせていた。
そして、総理大臣になると、国民から支持を失っていた自民党の利権政治を自ら、ぶっ壊す!と宣言し、ある意味で内戦を仕掛け一気に国民の支持を得た。その象徴が郵政民営化だったのだ。
当然だが、郵政関連団体や、彼らから票を得ていた政治家は反対する。そうした連中を抵抗勢力と呼び、小泉首相はますます人気を得た。
郵政民営化といっても簡単ではない。民営化するからには、民間企業とフェアな条件で競争しなければいけない。
一方で、公務員体質だった郵便事業は、ヤマト運輸や佐川急便などと競争できない可能性が高い。そこで、民営化するために、竹中平蔵大臣がまとめた折衷案が、金融2社の利益を郵便事業に回すこのような歪な持ち株会社なのである。…