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焦点:小売り決算「付加価値」で明暗、増税後の消費は質重視に
[東京 10日 ロイター] – 昨年4月に5%から8%に消費税率が引き上げられて以降、小売りの最前線では「消費の質」を重視する動きが広がり、その戦略の成否が企業決算の明暗を分けている。
勝ち組であるファーストリテイリング (9983.T: 株価, ニュース, レポート)やニトリホールディングス (9843.T: 株価, ニュース, レポート)、セブン&アイ・ホールディングス (3382.T: 株価, ニュース, レポート)などは付加価値を高めて値上げを実現、好決算を達成した。「量より質」を求める消費者ニーズに対応する巧拙が、業界の二極分化を引き起こしている。
<客数減っても客単価は上昇>
小売り各社の2015年2月期は、個人消費を取り巻く環境の悪化、収益確保へ厳しい対応を迫られる一年となった。消費増税、高いガソリン価格、円安による輸入物価上昇など、消費拡大には多くの逆風が吹く環境となったが、その中でもしっかりと収益を伸ばした企業は少なくない。
その筆頭となったセブン&アイHD。4期連続で営業最高益を更新する好決算を発表。消費増税に合わせ、プライベートブランド(PB)のセブンプレミアムの大半で質を高めるリニューアルや新商品への切り替えを実施したことなどが奏功した。
「日本の消費は成熟してきており、価格志向の商品を提供していると、なかなか消費増税をクリアできる状態ではない。しかし、新しい価値や質を上げ、価格を上げることができれば、トータルで消費増税分はクリアできる」と村田紀敏社長は話す。
1997年に消費税が3%から5%に引き上げられた際は、イトーヨーカ堂は「消費増税分5%の還元セール」を実施、他社も追随した。昨年4月の8%への増税時には、政府が価格転嫁の監視を徹底すると同時に、値下げ競争を誘発しかねない還元セール禁止などの措置を講じた。
昨年の消費増税の影響の違いについて、業界関係者は7年前に比べて消費者のし好が大きく変化していると語る。97年の増税時に消費者が重視したのは「価格水準」。それに対し、現在は「量より質」の消費に変わっており、質の良い商品を少量という節約方法が目立っている、という。 続く…
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