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EVベンチャー、宅配に照準=「小回り」で市場開拓
テラモーターズの徳重徹社長=東京都渋谷区
日本発の電気自動車(EV)ベンチャーが、高齢化や働く女性の増加で高まる宅配需要を取り込もうとしている。大手自動車メーカーの手の届きにくい領域に、ベンチャーならではの「小回り」を利かせ、日本のEV市場を切り開く戦略だ。
テラモーターズ(東京)は昨夏、宅配用の電動バイク「BIZMOII(ビズモツー)」を発売。大容量のバッテリーを搭載し、1回の充電での走行可能距離を150キロと一般的な電動スクーターの約3倍にした。100ボルトの家庭用電源で充電可能で、夜間に充電すれば走行距離を心配せずに1日走ることができる。法人向けに底堅い需要があり、年間1000台の販売を目指している。
電動バイクは静粛性が高いため、夜間や早朝の宅配にも使える。ベンチャーの聖地の米シリコンバレーで起業を学んだ徳重徹社長(45)は「これから日本の社会が高齢化する中、コンビニから宅配への流れが加速する」と強調する。
日本エレクトライクの電気三輪自動車と松波登社長=川崎市
日本エレクトライク(川崎市)は、主に1950年代に人気を集めた小型の三輪自動車を宅配用に電動で復活させた。インドの大手バジャジ・オートが製造した車体に電気モーターとバッテリーを組み込んで改良した「エレクトライク」の量産を今年2月に富山工場で開始。後部の荷台には最大150キロの荷物を積むことができる。
三輪は、曲がる際に車体が外側に傾き、倒れやすいという欠点があったが、左右の後輪を別々に制御することで問題を解決した。ラリードライバーの経験を持つ松波登社長(66)は「三輪は車体が軽く、小回りも利く。EVに合う宅配用の三輪をまず普及させるべきだ」と話している。