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[FT]「フーシ派」台頭、内戦に追い込まれるイエメン
全面的な内戦の様相が濃くなるイエメンでは22日、イスラム教シーア派の反政府組織「フーシ派」が、同国第3の都市タイズを制圧した。その前に、ハディ暫定大統領を支持する勢力に対して「総動員体制」を宣言していた。
フーシ派の戦闘員は首都サヌアと南部の港町アデンを結ぶ戦略上の要衝の地に勢力を拡大。アデンでは、包囲されたハディ氏が政府の樹立を模索している。
けが人を運ぶ反フーシ派の抗議デモ参加者。フーシ派戦闘員と衝突した(22日、イエメン南西部タイズ)=ロイター
先週末、シーア派系ザイド派(フーシ派はこのザイド派の流れをくむ)が多数集まるサヌアのモスクで複数の自爆テロが起き、少なくとも137人が死亡すると、緊張が高まった。
「異なる宗派のモスクがテロの標的になったことは、治安がのっぴきならない段階にまで悪化したことの証しだ」。国連特使のベノマール事務総長特別顧問はそう語る。
先週には、フーシ派と連携するサレハ元大統領を支持する武装勢力が、アデンとその近郊の軍事拠点ラハジでハディ氏派の軍隊と交戦した。
ハディ氏と連携する民兵組織がラハジの軍事基地を急襲した直後、米軍は治安上の懸念を理由にラハジから撤退している。
この事態を受け、フーシ派はハディ氏が身元確認を行わずに民兵を組織していると主張して、南部に攻勢を仕掛けた。フーシ派は、ハディ氏のこうした措置が、テロリスト集団アルカイダの分派「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」に南部を掌握させる恐れがあると語っている。フーシ派の主張によると、ハディ氏の支援を受けてラハジの襲撃に参加した戦闘員の多くが(スンニ派の過激派組織である)AQAPのメンバーだったという。
■誰が誰と戦っているのか?
2012年以来、大統領を務めてきたハディ氏は、アデンを暫定首都に定め、南部の分離独立派や反フーシ派の部族、スンニ派のイスラム教徒からなる2万人の民兵集団を組織し、少数ながら依然として同氏を支持する軍隊に拡大しようとしている。
ハディ氏の狙いは、サヌアの奪回にある。首都サヌアは去年9月、フーシ派と各部族の民兵、長年大統領を務めたサレハ氏を支持する武装勢力からなる連合勢力が制圧した。
もともとフーシ派は、イランの国教「十二イマーム派」とは異なるシーア派の分派、ザイド派の復興運動であったが、2004~10年まで6度にわたったサヌアの政府軍との内戦中に、イエメンでも屈指の武装集団に変身した。11年、フーシ派は、サレハ政権内部の各派間の内戦で生じた治安の空白に乗じて、イエメン北部の高地地帯にあるサーダを支配して勢力拠点とし、13年に支配地域を越えて進攻を開始した。