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「映像流出の危険、直視を」 ウェブカメラ問題で識者
ウェブカメラ(ネットワークカメラ)のパスワードが設定されず、映像が外部から見える状態になっている問題について、インターネットや街頭などに設置されたカメラに詳しい識者はどうとらえているのか。セキュリティー対策大手・トレンドマイクロ最高経営責任者(CEO)のエバ・チェン氏、弁護士の武藤糾明氏にそれぞれ聞いた。
【写真】武藤糾明氏
■教育する専門家が不足
朝日新聞が確認したウェブカメラの中には、複数の子どもたちが遊ぶ施設を映したものもありました。親が見守るためでしょうか? カメラの利点を生かした使い方だと思う。一方で、利用者がセキュリティー上の問題をどこまで意識しているのか疑問です。
世界はネットで結ばれ、接続している機器には誰でもアクセスできます。自分だけが見られるようにするにはパスワードの設定が必要です。しかし設定できなかったり、初期パスワードがネット上に公開されていたりする製品もある。家電などあらゆるモノがネットにつながる「IoT」(Internet of Things=モノのインターネット)時代を前に、メーカー側もセキュリティーを意識してほしい。
自転車の乗り方は多くの人が小さい頃に学びます。ネットセキュリティーも同じ。イスラエルでは10代から教育プログラムがあります。昨年11月に日本の経済産業省で、官民協力で実施すべきだと訴えました。ただ、その専門家も不足しているのが日本の現状です。
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〈エバ・チェン〉 トレンドマイクロの創業者の一人。2012年、米誌フォーブス「アジアの女性ビジネスリーダー50人」に初選出された。
■今回の調査、公益性があり意義深い
防犯用などとして使われているウェブカメラは「便利そう」「頼りになる」と考えられている一方、現実としてリスクもあります。外部から見える状態にあるカメラが存在することを社会に知らせた今回の調査は公益性があり、意義深い。
相手が同意していないのにカメラで顔を撮影する行為は、原則として肖像権・プライバシー権を侵害します。犯罪捜査が目的として許される場合でも、現行犯や濃厚な嫌疑がある相手などに限定されるというのが裁判所の考え方です。
ウェブカメラは低価格化が進んでいます。画像も高品質になり、大量の画像を蓄積することができます。顔の画像でコンピューターが自動識別もできるようになっています。
店舗に設置されたカメラは万引きやトラブル防止といった「正当な目的」が前提にあります。だが、そうではない場所に向けたカメラに対して、映り込む人の同意が得られるとは思えない。こうした映像がネット上に流される危険があるウェブカメラの現状も直視していくべきでしょう。(聞き手・須藤龍也)
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〈むとう・ただあき〉 福岡県弁護士会。日本弁護士連合会の情報問題対策委員会副委員長を務め、監視カメラ問題にも取り組む。プライバシー権に詳しい。
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〈ウェブカメラのパスワード未設定問題〉 朝日新聞がインターネットにつながる全機器に割り当てられている国内の約9千万のIPアドレス(ネット上の住所)を無作為にたどり、約125万のアドレスを抽出。先月末の時点で2163台のウェブカメラのうち、35%にあたる769台でパスワードが設定されていないことが判明した。未設定の場合、第三者が映像を見たり音声を聞いたりできる状態になる。
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