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インクジェットで布彩る 「捺染」体験、印刷1分
ある日、締め切りが終わってぼーっとしていたらデスクに話しかけられた。「なんかさ、コニカミノルタの印刷機で洋服作れるんだって?」。インクジェット布地印刷機のことか。印刷機なので洋服までは作れないが、好きな柄を簡単に印刷してデザイン布地を作ることはできる。「ぜひやらせてください」と二つ返事で企画が走り出した。
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その印刷機とは旧コニカが1997年に第1号機を発売した「ナッセンジャー」シリーズ。布を染める意味の「捺染」をもじったネーミングもセンスがいい。ナッセンジャー最大の特徴は、綿や絹、化学繊維、混紡などの生地にインクジェット方式で印刷する点にある。
近年、インクの品質や駆動部品の改良で印刷スピードが向上し、これまでのスクリーン印刷に劣らないほど印刷能力を上げているという。多品種少量生産に向いていて、デザインを柔軟に変更でき、消費者のニーズに合わせることも可能。ファストファッション大手も導入を始めており、服地印刷界の静かな革命と言われている。
■準備はロゴだけ
紙のインクジェットプリンターと仕組みはほとんど同じなので、確かデータさえあればあっという間に印刷できたはず。コニカミノルタ広報の土井文子さんに相談すると、「基になる布地はこちらで用意するので、オリジナルロゴをパソコンで作ってみてください」とのこと。画像編集ソフトのフォトショップでヘビを描くことにした。
3月13日、“宿題”を持って、コニカミノルタのインクジェット事業部がある東京都日野市の東京サイト日野を訪れた。出迎えてくれたのはナッセンジャー事業立ち上げ当初から携わっているテキスタイル営業部CSグループの加藤孝行課長だ。
加藤さんはデモルームの隣の部屋のパソコンでフォトショップを立ち上げ、記者が持ってきたデザインを拡大してチェック。ロゴを切り出して、用意してもらったデザイン画の上に置いて組み合わせてみる。画面上では1パターンだが、布になるときはこれが何度も繰り返し印刷される。
「ひとつだけ入れるなら真ん中に入れた方がいいですね」と加藤さん。大きさや角度を変えて、ひとまずヘビを真ん中においてファイルを保存した。「じゃあ印刷しましょうか」と加藤さんがさらっという。え、もうですか?
加藤さんはデスクトップ上からプリンターにデータを送るソフトを起動。「じゃあ、あちらへ行きましょう」と案内された先は隣の部屋にあるナッセンジャーだ。
■1分で印刷完了
ナッセンジャーは、見た目は高さ2メートルほどの大きな箱。中に幅2メートルほどのベルトが配置され、その上にインクジェットヘッドが9個収納された箱が鎮座する構造だ。「じゃあ、いきますよ」。加藤さんのパートナー、蔡海潤係長が掛け声をかけると、機械がウイーンと音を立てて動き出した。
そろりとインクジェットヘッドが動き出した。布の上を左右に2回ヘッドが往復すると、画面で見ていた緑色の柄が連続して鮮やかに出てきた。ヘッドが行き来するにつれ完成していく図柄。「すごい!」。思わず声が出た。
幅約1メートル、長さ1メートルほどを印刷するのにかかった時間は1分足らず。「すぐにできるんですね」と言うと加藤さんが「これ、スクリーン印刷だったらここまでで3日かかりますよ」という。
サイケデリックで素敵な布地ができた。デスクに報告すると、「確かにすごいけど、生地のままじゃ記事のネタにならないよ」。おじさんギャグに脱力しながら「それじゃエプロン作ってみます」「そうだね、洗濯したりアイロンしたりしても大丈夫なのかな」――大変なことになってきた。