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ソニー、「スズ系アモルファス負極」を採用したリチウムイオン2次電池を開発

ソニー、「スズ系アモルファス負極」を採用したリチウムイオン2次電池を開発 

 ソニーが開発した18659型リチウムイオン2次電池「Nexelion(ネクセリオン)」

 ソニーは、ノートPCの電池として広く使われている直径18mm、長さ65mmの18650型円筒形リチウムイオン2次電池として、「スズ系アモルファス」を負極材料に用いた、3.5Ah容量品「Nexelion(ネクセリオン)」を開発したことを発表した。Nexelionは2005年に直径14mm、長さ43mmの円筒形サイズで商品化されていたが、今回、サイズを拡張し、充電終止電圧4.3V、放電終止電圧2.0Vまで範囲を広げることで、3.5Ahの容量を実現した。2011年中の出荷を予定している。

 一般にスズやケイ素、あるいはこれらの元素を含む化合物は、リチウムイオン2次電池の高容量化を実現する負極材料として注目されてきたが、これらの元素を用いた場合、充電・放電時の粒子形状の変化が大きく、実用化においてはサイクル特性(充放電を繰り返すことにより電池容量が低下する現象)の改善が課題であった。同社は2005年2月に、こうした課題の解決を目指したスズ・コバルト・炭素などの元素を原子レベルで均質混合し、アモルファス化処理した材料を開発しており、これにより充電・放電時の粒子の形状変化を抑え、充放電サイクル特性の向上を図ることに成功していた。

 今回、前回までの成果を受けて、負極粒子形状の最適化を図り、実用性と量産性を高めた材料を採用することで、電池容量の向上を実現した。また、同負極材のリチウムイオン受け入れ性の高さにより、充電特性が高く、0.7ItAでの急速充電が可能なほか、同材料の特長である低温特性が良いといった利点も従来から継承されており、化学的に容量が低下するとされている低温度環境下(-10~0℃)であっても高い容量維持率を保持でき、同社従来品(同サイズの円筒形2.2Ah品)に比べて放電容量はおよそ75%向上している。

 放電カーブ

 放電温度特性のグラフ

 さらに、高容量化には、同負極の採用だけでなく、正極材料の表面処理技術も寄与していると同社では説明している。同技術を用いることで、高い充電圧が負荷された状態においても、材料元素の安定性を保ち、4.3Vまでの充電終止電圧が達成でき、電池としての信頼性の向上や高容量化を実現しているという。

 加えて、今回採用したセパレータには、ポリオレフィン微多孔膜に3次元ネットワーク構造を持つセラミック層を付加し、微多孔膜そのものが持つ透気性や強度などの特性を損なうことなく、万が一、金属異物が混入した場合でも内部短絡をシャットダウンする機能を搭載した。これにより、エネルギー容量の高い充電や放電にも対応できるようになり、結果として高容量化に貢献したとしている。

 電池セラミック層の3次元ネットワーク樹脂構造

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