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凸版など、大腸がんの最適抗がん剤選択向け遺伝子変異解析システムを開発

凸版など、大腸がんの最適抗がん剤選択向け遺伝子変異解析システムを開発 

 凸版印刷と理研ジェネシスは6月12日、大腸がんの最適抗がん剤選択に向け、KRAS遺伝子の体細胞変異を迅速、簡便に検出可能な遺伝子解析システムを開発したと発表した。

 大腸がんに使用する抗がん剤の中でも「セツキシマブ」、「パニツムマブ」は分子標的薬と呼ばれ、がん細胞の表面に有るEGF(上皮細胞増殖因子)の受容体に結合することで、がんの増殖を抑える働きを示すが、近年の研究から「KRAS」と呼ばれる遺伝子に変異がある場合、これらの抗がん剤の効果が薄くなることが分かってきた。

 そのため、これらの抗がん剤の投与に先立ってKRAS遺伝子の変異を確認することが重要な検査になるが、従来、検査センターを介した場合で解析結果が出るまでに2週間程度の時間を要するなど、時間がかかっていた。

 同システムは、両社ならびに理化学研究所(理研) ゲノム医科学研究センター(2013年4月1日より統合生命医科学研究センターに組織改組)が共同で開発してきたもので、2011年10月に日本国内で薬事申請をした、経口抗血液凝固剤であるワルファリンの適正投与量予測の支援目的として、血液100μlから、全自動かつ約90分という短時間で遺伝子多型を検査するシステムに続くもの。

 用いられる試料は血液ではなく、精製されたゲノムDNAで、それを付属の前処理カセットに入れ、解析チップおよびピペットチップとともに装置にセットし、検査をスタートすると、自動的に60分以内でKRAS遺伝子内のコドン12、および13の位置にある7種類の遺伝子変異を検出することができるものとなっている。

 また、現在、最も代表的なKRAS遺伝子変異検査法であるダイレクトシーケンスでは、検査対象の細胞の約30%以上が変異を持っていないと検出できないが、同システムでは、10%のがん細胞が含まれていれば、KRA遺伝子変異を検出することが可能となったという。

 なお両社は、同システムを研究用途向けに2013年度中に販売開始する予定としているほか、理研ジェネシスでは、近日中に欧州における体外診断薬販売の要求事項である98/79/EC指令をクリアし、CEマークを貼付して欧州で販売を開始する予定だとしている。

  左が今回開発されたシステムの外観。右が解析チップ、前処理カセット、およびピペットチップ

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