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島津製作所と東北大、5万画素・1000万コマ/秒の高速度カメラを開発

島津製作所と東北大、5万画素・1000万コマ/秒の高速度カメラを開発 

 島津製作所と東北大学は9月3日、共同開発した高速CMOSイメージセンサ「FTCMOS」を搭載した高速度ビデオカメラを製品実用化することに成功し、島津製作所が同日より高速度ビデオカメラ「HyperVision HPV-X」(以下、HPV-X)として発売を開始したことを発表した(画像1)。

 高速度ビデオカメラ「HyperVision HPV-X」

 今回搭載された高速CMOSイメージセンサは、東大大学院 工学研究科技術社会システム専攻の須川成利教授の研究グループと、島津製作所が共同開発したものだ。FTCMOSは、科学技術振興機構の研究成果最適展開支援事業(A-STEP)「超高速光イメージング技術の実用性検証」として開発が行われた。

 材料科学や燃焼、爆発、マイクロマシン技術、宇宙開発などの分野において、新規材料や衝撃波、発光、放電などに伴う物理現象を解明するために、超高速度で行える撮影装置が必要とされている。これら超高速現象を正確にとらえるためには、撮影速度の向上と共に、その速度向上に伴ってある程度の連続した記録コマ数が必要となるため、その2つを両立させる装置が求められていた。

 そのニーズに応えるため、島津製作所は、須川教授と共同でFTCMOSを開発。それを搭載し、超高速撮影と長時間撮影を可能にした高速度ビデオカメラHyperVision HPV-Xが開発された。

 HPV-Xによって、従来観察できなかった超高速現象の高時間分解観察が可能になる。例えば、自動車、航空機のボディの軽量化のために使用され注目を集めている複合材料の試験において、材料の破断の瞬間は高速で、従来の高速度ビデオカメラでは観察できなかったが、それらも撮影できるようになった。なお、HPV-Xの特長は以下の通りだ。

 まず、新開発されたFTCMOSにより、世界最高レベルの1000万コマ/秒の高速連続撮影が行えること。FTCMOSは通常のイメージセンサとは異なり、センサチップにメモリを内蔵しており、撮影中はチップ内部に映像信号を記録し、撮影後に外部に読み出す方法をとることにより外部回路による制約を受けない超高速の動画撮影を可能にした。

 記録枚数は、解像度優先モード(FPモード)では、同社の従来機「HPV-2」と比べて20%アップし128枚の撮影が可能になった。また、5万画素の撮影時間優先モード(HPモード)ではダブルメモリ方式により256枚の長時間撮影が可能になるので、ユーザーは撮影条件によって「解像度優先」と「撮影時間優先」を選択して撮影することが可能だ。

 通常の高速度ビデオカメラでは、撮影速度が上がるに従って解像度が低下するが、HPV-Xではこうした解像度の低下はなく、FPモードは10万画素で500万コマ/秒、HPモードは5万画素で1000万コマ/秒という高解像度の維持を実現した。したがって、通常の高速度ビデオカメラでは観察できない超高速現象の詳細な解析が可能だ。なお、撮影速度葉HPV-2と比較して10倍向上している。

 またHPV-Xは従来機と同様に、カメラヘッドをノートPCにケーブル接続するというシンプルな構成により、コンパクトで可搬性がよく、現場でのセットアップと撮影を容易に行うことが可能だ。そして、従来のHPVソフトウェアを継承しており、直観的でわかりやすい設定画面で、簡単に超高速撮影を行うことができるようになっている。

 HPV-Xは1000万コマ/秒での撮影が可能なことから、より詳細な観察が可能となり、さらに高性能な複合材料の開発に役立つと期待されるという。そのほかにも、タブレット型端末や大型薄型テレビなどに使われる化学強化ガラスの破壊モードの解明や材料の均質性評価、デバイスへのダメージの少ないレーザ加工、放電加工などのプラズマ応用技術の研究開発、さらにはエネルギー消費が少ないインクジェット印刷による電子回路製作技術など、さまざまな最先端の研究分野での活用が期待されるとしている。

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名大、ヒトのがんと同様の染色体変化が再現される動物発がんモデルを開発 HOME 安川電機、GaNパワー半導体モジュール搭載パワーコンディショナを開発
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