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日立化成、タッチパネル用転写形薄膜透明導電フィルムの量産体制を構築
日立化成は1月29日、タッチパネルの材料である転写形薄膜透明導電フィルム「Transparent Conductive Transfer Film(TCTF)」の量産体制構築のため、新たなフィルム製造ラインを同社山崎事業所に導入することを決定したと発表した。
近年、タッチパネルは、スマートフォン、タブレットPCに加え、ノートパソコンやデスクトップパソコンなどにも採用が広がっており、タッチパネルの材料である透明導電フィルムの需要が拡大している。
多くのタッチパネルは、タッチした位置を特定する透明な電極が基板に形成されており、透明導電フィルムにはITO(酸化インジウムスズ)が使用されているが、ITOフィルムは蒸着やスパッタリングなどの大型設備が必要であるほか、加工プロセス工程が多く、生産効率を高めることが難しいといった課題があった。
また、タッチパネルの画面の大型化に伴い、電極の配線抵抗値が増加することから、タッチした位置を特定する精度が落ちる課題もあり、新たな透明導電フィルムの開発が求められていた。
そこで同社は2011年、米Cambrios Technologiesが開発した銀ナノワイヤ導電インク「クリアオーム(ClearOhm)」と、日立化成のプリント配線板用感光性フィルムの技術を融合させた、銀ナノワイヤと感光層の2層構造によるTCTFに開発。TCTFは基板に転写・接着し、露光とアルカリ現像によりファインパターンを形成できるため、真空プロセスが不要かつ加工プロセスの短縮による生産効率の向上が可能になる。さらに、大型化による配線抵抗値の増加を抑制できるため、ITO並みの導電性と高透明性を両立することが可能だという。
なお、すでに複数の顧客においてTCTFに対する材料評価が順調に進んでおり、2013年度の採用ならびに、TCTF事業の拡大が見込めるとのことで、新ラインを2013年10月に稼働させたいとしている。
日立化成の転写形薄膜透明導電フィルム「TCTF」
TCTFを使用したタッチスクリーンの断面図の例