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林原科研、2002年にモンゴルで発見した化石が新種の恐竜であることを発表
林原生物科学研究所は8月25日、2002年に同社とモンゴル共同調査隊がゴビ砂漠で採取した小型の植物食恐竜「パキケファロサウルス」類の頭部の化石が新種であることが判明し、「アムトケファレ・ゴビエンシス(Amtocephale gobiensis)」と命名したことを発表した(画像1)。2011年7月に、米学術雑誌「ニューメキシコ自然史科学博物館紀要53号」に論文が掲載された。
画像1。パキケファロサウルス科の復元図。ドーム型の頭骨を持っているのが特徴
パキケファロサウルス類は石頭恐竜という二つ名があり、今回発見された化石は中でもドーム型の分厚い頭骨が特徴とされる進化型であるパキケファロサウルス科。その頭骨の一部(全長53mmほど)が見つかった。最上部にあたる癒合した前頭骨および頭頂骨が発見され、その骨学上の特徴から新属新種であることが判明したというわけだ。
新種と判明した化石の腹側面からと左側面からの写真。全長は53mm
その理由は、上側頭窩(じょうそくとうか)が深い、前頭骨の鼻骨との関節面が広い、前前頭骨と上眼窩骨(じょうがんかこつ)の前部に関節する前頭骨の関節面がほぼ直線、頭頂骨が短い、頭頂骨は後方内方への伸張部は鋭く下方へ延び、前頭頭頂骨(ぜんとうとうちょうこつ)の幅に比較してかなり幅広い、上側頭窓(じょうそくとうそう)を欠くといった特徴を有している点である。
なお、これまで発見されているパキケファロサウルス科の種類は、世界で8種類、その内の2種類はモンゴル産。アムトケファレ・ゴビエンシスは産出地アムトガイの化石産出地層バインシレ層の年代から判断すると、9500万年前から8350万年前とされる。これは、これまで発見されている最古のものよりも約1000万年も古く、最も古い時代のものであることが判明した。進化しているのに最も古いというと一見すると矛盾しているかのようだが、種類が異なるからであり、その分岐点が従来考えられていたよりも古いと考えれば説明がつくという(画像3、4)。こうしたことから、パキケファロサウルス科の起源と進化過程を解明する上で、非常に貴重な標本とされている。
画像3。これまでのパキケファロサウルス類の系統図
画像4。今回の発見をまとめた論文に掲載された新しい系統図
なお、今回の化石の推定体長は、これまでの化石の中では最小となる1.2m。若い個体と推測されている。