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粘土鉱物の“呼吸”現象を発見
図. ハイドロタルサイトに含まれる炭酸イオンと空気中の二酸化炭素の交換(提供:物質・材料研究機構)
物質・材料研究機構は、「ハイドロタルサイト」と呼ばれる粘土鉱物が、空気中の二酸化炭素を吸ったり、吐いたりしている“呼吸”現象を発見したと発表した。従来の地球規模での炭素循環に対する考え方を変える可能もあるという。
ハイドロタルサイトは、天然に産出する粘土鉱物の一種で、マグネシウムとアルミニウム、炭素、水素などの元素からなる層状化合物で、層間に陰イオンを取り込む性質がある。その性質から胃酸を中和する制酸剤や、塩化ビニールの安定剤などに利用されている。
同機構・国際ナノアーキテクトニクス研究拠点「若手国際研究センター」の石原伸輔研究員と井伊伸夫特別研究員らは、炭素元素の放射性同位体をマーカーにして、ハイドロタルサイト層間の炭酸イオンについて調べた。その結果、炭酸イオンが空気中の二酸化炭素と、数日から1週間程度で入れ替わっていることが分かった。
さらにガス吸着の実験から、ハイドロタルサイトの層間には、空気中の二酸化炭素だけを1グラムあたり約4ccの量だけ吸着し、二酸化炭素よりも分子径の小さい窒素ガスは取り込まなかった。こうした層間での炭酸イオンと二酸化炭素の交換は繰り返され、あたかも粘土鉱物が“呼吸”をしているような新現象だという。
ハイドロタルサイトの構造を変えることで、二酸化炭素の吸着量や交換速度を向上させ、効率的な二酸化炭素の分離膜や還元触媒などの次世代材料の開発が期待できる。地球全体の炭素循環や、炭素年代測定法のより正確な理解にもつながるという。
研究論文“Dynamic Breathing of CO2 by Hydrotalcite”は米国化学会誌『Journal of the American Chemical Society』に掲載された。