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複雑化するものづくりのニーズにMathWorksができることとは?
2014年10月29日、MathWorks主催のMATLAB EXPO 2014が都内で開催された。いつもの通り午前中は基調講演、午後はテクニカルセッションという構成である。今年の基調講演は東京工業大学の藤田政之教授と、MathWorks本社のSameer Prabhu氏が務めた。今回はこのPrabhu氏の基調講演と、さらに午後にPress Meetingという形で質疑応答の時間があったので、その際の内容も併せてレポートしたい。
Photo01:Industry Marketing DirectorのSameer Prabhu氏
氏はまず昨今のトレンド(Photo02)と2009年のトレンド(Photo03)を並べた上で、Googleのトレンド分析で頻度を示したのがこちら(Photo04)である。その一方で、主要な地域別にGDPにおける研究開発費の割合を示したのがこちら(Photo05)である。
Photo02:個別の説明は不要かと思うが補足しておけばMOOCはMassive Open Online Courseの略。基調講演の最後でこれに繋がった
Photo03:Social ComputingとかSmart Phones、SaaSなど見慣れた言葉が並ぶ
Photo04:SaaSにしてもSocial Computingにしても、それが当たり前のものになったら誰も改めて話題にしないということでもある
Photo05:日本が3%を超えているのもすごいが、中国の追い上げもすごい。が、そうした個別の国の状況を論じている訳ではない
氏が言いたいのは、MathWorksは短期的なトレンドを追いかけるのではなく、より長期的な変革に対してアドレスしてゆく、ということである。物事がより複雑化し、しかも開発サイクルが短縮されてゆくという現状に対してどうアドレスしてゆくか、それに関するMathWorksの答えが、次の4項目である(Photo07)。以下、一項目ずつ細かく事例を挙げながら説明して言った。
Photo06:といってもトレンドを無視するという訳でもないが、これは後述
Photo07:ちなみにこのスライドそのものは後のPress Meeting時のものであるが、1枚に要約されていて判りやすいのでこちらで紹介した
まず「Algorithms in everything」である。いまや日々の生活において身の周り全てのものにアルゴリズムが実装されているといっても過言ではない。一方、ここ10年で急速にデバイスの処理能力が向上し、より複雑で大規模なアルゴリズムを実装することが可能になってきている(Photo08)。
Photo08:これは生産される半導体のトランジスタ数を人口で割った数字。2015年には一人当たり1700億個のトランジスタを所有できる計算になる
アルゴリズムを形にするためのツールとして、MATLAB/Simulink/Stateflowという同社の製品が利用できるという話であるが(Photo09)、ここで昨年発表されたMATLAB R2013bに追加されたMATLAB System blockについて少し触れた(Photo10)あと、あらためてMATLABの機能についての説明があった。
Photo09:同社の主力製品としては、MATLAB、Simulinkに加え、状態遷移を表現するStateflowもある
Photo10:MATLAB System objectをそのままSimulinkに取り込める仕組み。一旦メモリにBufferして、ついでStream Processingを掛ける形になるようだ
たとえばPhonakの補聴器(Photo11)はMATLABのDSP System Toolboxを使って実装されているが、他にも様々なToolboxがFunction Librariesの形で同社から提供されている(Photo12)。
Photo11:これはSonovaのPhonak Audéo Vというモデル
Photo12:オプション製品一覧はこちらにあるが、MATLABのオプション製品だけで現時点で10分野54製品がラインアップされている
これを利用すると、たとえばADAS向けの様々な機能が同社のToolboxで実現できるようになる(Photo13)。ちなみに開発にあたっては、こんな形(Photo14)でシミュレーション環境を使いながらアルゴリズムの開発と検証を行う訳だが、独コンチネンタル社によればMATLABを利用することで開発効率を改善し、コストを下げながら信頼性を上げることに成功したとしている(Photo15)。
Photo13:このスライドは何枚かの連続したものの最後で、ここでは信号認識機能とか車線認識/制御、それとアクティブヘッドライト制御が可能になる、という例を示したもの
Photo14:これは今年7月にドイツで開催されたMATLAB EXPOで発表された、信号認識システムの開発に関する独コンチネンタル社の講演の事例
Photo15:もちろんこれは独コンチネンタル社による評価である
高度な知識や時間を要するアルゴリズムのパラメータ・チューニング作業を改善する為のアプリケーションが、今年3月発表されたRelease 2014aで追加された「Control System Tuner App」となる(Photo16)。これはパラメータ設定を行いチューニングする様子を動画で紹介したので、スライドが無いのだが、下側のオレンジ色の波形からチューニングを行う際に、実際は大変な工数がかかるが、「Control System Tuner App」は、より容易に所望の特性にチューニングすることをサポートしてくれる。
あくまでもアルゴリズムを考えるのはユーザであるが、それを実装したり検証したりする作業にフォーカスしてこれを手助けできる事をここでは強調した。
Photo16:これはSimulinkと連動する形で、パラメータの最適化を自動的に行うことで目的の特性を得られるようにするものである
ビッグデータ解析にも対応したMATLAB/Simulink