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資生堂、D-アミノ酸の新たな美肌効果を発見
資生堂は、九州大学大学院薬学研究院の浜瀬 准教授と共同開発した高感度D,L-アミノ酸同時一斉分析装置と、これまで培ってきた皮膚科学研究の融合を図り、D-アミノ酸の新たな美肌効果を発見し、同成果を、中国専用ブランド「ウララ」の2013年6月発売予定の抗老化スキンケアシリーズ「マルチバイタライジングDAA」に、応用展開したことを発表した。
アミノ酸にはD型(D-アミノ酸)とL型(L-アミノ酸)の2種類あることが知られているが、従来、生体中のタンパク質を構成するアミノ酸がL型であることや、L型とD型を精度良く分析する技術が確立されていなかったことから、D型は研究対象となっておらず、皮膚においても、そもそもD型は存在しない、効果もないであろうということが一般的な認識であったという。
高感度D,L-アミノ酸同時一斉分析装置(資生堂と九大が開発した分析法の装置一式と分析例)
しかし、近年の分析技術の進歩により、ほ乳類の体内から数種のD-アミノ酸が発見され、脳やホルモン分泌などで重要な役割を担っていることが明らかにされつつあるほか、発酵食品などにも多く含まれていることもわかってきた。
同社でも”皮膚中にもD-アミノ酸は存在し、有効なはたらきをしているだろう”という仮説のもと、D-アミノ酸研究を進めてきており、これまでに高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で全アミノ酸を同時一斉に全自動かつ高感度で分離・定量分析できる方法と装置一式を開発してきており、今回は、そうしたこれまでの成果を元に、皮膚におけるD-アミノ酸の有無や機能ついての研究が行われた。
具体的には、D-アミノ酸のなかでも発酵などを通じて最も身近に接しているものの1つであるD-アラニンに着目し、皮膚(角層)中の量や機能について研究を進めたところ、ヒトの角層にはさまざまな微量のD-アミノ酸が存在し、その中のD-アラニンは幼少期には多いものの加齢で減少することを発見した。また、D-アラニンは、加齢によって機能が低下する基底膜の構成成分である、ラミニン5の産生を促進することを解明したという。
D-アラニンのラミニン5産生促進効果(左)と加齢による角層中のD-アラニンの変化
今回の成果は、D-アラニンが、加齢によって失われていく肌機能を呼び覚まし、肌が自ら美しくなろうとする力を”起動”させる成分であることを示すものであり、同社では同物質を抗老化対応成分として配合した製品「ウララ マルチバイタライジングDAA」として中国向けに販売展開していくとしている。