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<函館沖転覆>「奇跡だ」空気だまりで男性救出
北海道函館市沖の津軽海峡で27日に転覆した作業船「第18明祐」(19トン、4人乗り)から28日、約15時間ぶりに船室で救助された甲板員、永田勝行さん(64)=長崎市=は、船体が傾いて船室に「空気だまり」ができたため、一命を取り留めたとみられる。第1管区海上保安本部(小樽市)は「非常に幸運だった。救助できたのは奇跡だ」と話す。
【写真特集】函館沖作業船転覆事故での救助の様子
座礁地点から約17.5キロ離れた函館市釜谷町の海岸では午前5時20分ごろに遺体が見つかり、甲板員、柳町武士さん(39)=青森県八戸市=と判明した。函館海上保安部は27日に海上で収容した男性の遺体も乗員とみて身元確認を急ぐと共に、29日も巡視船やヘリで捜索する。
第18明祐は27日午後3時10分ごろに転覆。当初は船底を上にして浮いていたが、北東に流されるにつれて右舷を上に水没した。
永田さんは28日午前5時40分ごろ、船首部分にある右舷側の船室で発見された。高さ約1メートルの空間に足首まで水につかり、しゃがんでいた。救難隊員が「寒いですか」と声を掛けると、「はい」と答えたという。当時の海水温は8.5度、気温は8.6度だった。
救難隊員が潜水を開始してから発見までの時間は約5分。27日の捜索で右舷から音が聞こえていたことや、船の見取り図があったことが捜索の一助となったとみられる。永田さんは救命用マスクを着用して脱出。ヘリに移され救急車で病院へ搬送された。途中で脈が弱まり意識を失ったが、その後、意識を回復し海保の係官に名前と年齢を話したという。
永田さんの妻は毎日新聞の取材に「助かったと聞いて安心したが、まだ助かっていない人がいるので心配です」と話した。【鈴木勝一、遠藤修平、酒井祥宏】