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<視覚障害>社会参加にスマホの可能性 タッチ画面の解決を
視覚障害者向けのスマートフォン(スマホ)アプリが次々と開発されている。GPS(全地球測位システム)と音声読み上げ機能を組み合わせて道案内したり、内蔵カメラで目の前の物が何かを教えてくれたりして、視覚障害者の社会参加を支えている。ただ、平面のタッチ画面操作というスマホの特徴が、指先の感触を頼りにする視覚障害者にとっては最大の難点だ。克服されれば飛躍的に利便性が向上するだけに、技術開発に期待が寄せられている。【川上珠実】
【絵に凹凸】触って楽しむ「冨嶽三十六景」
「新大阪駅から近くのホテルまで、このアプリを使って視覚障害者の知人と2人で歩きました」。福岡市内の公共施設であった視覚障害者のグループ「パソボラさーくる虹」の勉強会。全盲の藤川敦志さん(52)=福岡市南区=が愛用するスマホアプリ「てくてくナビ」の使い方を大阪での体験を踏まえて説明した。
音声案内に従って目的地を入力すると、現在地からの直線距離が読み上げられる。スマホを目的地の方角に向けると振動し、どの方向が目的地か把握できる。途中の交差点などを通過ポイントとして入力しておけば、通過ポイントに着くと振動するため迷うことも少ない。「自宅にこもりがちだった視覚障害者が外に出るきっかけになれば」と昨年2月、松江市のNPO法人「プロジェクトゆうあい」が開発した。
藤川さんが他に紹介したのは、内蔵カメラで紙幣を識別し「1万円札」などと音声で教えてくれるロシア発のアプリ「ブラインド・ドロイド・ワレット」だ。「さーくる虹」の明治博代表(59)は「視覚障害が情報障害と言われたのは過去のことになりつつある」と語る。
新潟大福祉人間工学科の渡辺哲也准教授が2013年、10~90代の視覚障害者304人(全盲者190人、弱視者114人)を対象にした調査では、4人に1人以上がスマホを所有していた。「服の色などもある程度教えてくれるので重宝している」といった声が上がり、スマホが障害を補う便利なツールとして活用されている。
一方、とりわけ全盲者はスマホの操作に困難を抱えていた。平面画面は指先の感触でキーを確認できず、音声を頼りに入力するが、時間もかかり、誤操作も多い。調査では多くが「使いにくい」などと回答。「キーを押す感覚や触った感覚を擬似的に感じられるようにしてほしい」などの要望もあった。
難題克服の取り組みは始まっている。富士通(東京都)は昨年2月、平面のタッチパネルをなでれば、超音波振動によってキーの凹凸があるように錯覚させる試作品を公開し、来春までの製品化を目指している。同社広報IR室は「視覚障害者の利用や、将来的にはスマホへの搭載も視野に入れている」としている。
視覚障害者が使いやすいスマホについて研究している日本盲人職能開発センター非常勤講師、松坂治男さん(64)は「全盲者は平面画面を使えないという先入観があるが、触覚的なサポートがあればより利用しやすい」と期待する。手ごろな価格で製品化されれば、視覚障害者への普及が飛躍的に向上する可能性を秘めている。
◇視覚障害者の生活を補助するアプリ例
◆Tap Tap See(タップ・タップ・シー)…カメラをかざして画面をタップすると、認識した物体の色や名称を音声で知らせる。
◆Voice(ボイス)RSS…スポーツや経済など事前に登録した分野の新着ニュースを音声で読み上げる。
◆Light Detector(ライト・ディテクター)…光にカメラをかざすと、明るさを電子音の高低で知らせる。室内に明かりがついているか、窓が開いているかどうかなどが分かる。
◆Cam Find(キャン・ファインド)…カメラで撮影した画像をもとに、インターネットで関連した情報を検索して表示する。