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FSL、接近物検知機能を搭載した全周囲立体モニタシステム向けSoCを開発
富士通セミコンダクター(FSL)は5月16日、車載向けグラフィックスSoCの第3世代品「MB86R24」を開発したことを発表した。これにより車両の全周囲を自由な視点かつ立体映像で確認可能な「全周囲立体モニタシステム」に、人や自転車などが近づいてきたことを検知する「接近物検知機能」の搭載が可能になったという。
米国の「Kids and Transportation Safety Act(KT法)」に代表されるように、自動車の安全に対してカーエレクトロニクス化に対する要求が高まっている。
同製品は、デュアルコアARM Cortex-A9(533MHz駆動)を搭載しているほか、3DエンジンとしてImagination Technologies(IMG)のPowerVR SGX543を採用することで、従来世代品比でCPU性能を約2倍、GPU性能を約5倍に高めたほか、独自の2Dエンジンも独立動作させることで、高い画像処理パフォーマンスを達成できるとする。
車載向けグラフィックスSoCの第3世代品「MB86R24」の概要
また、フルHD対応の映像入力6本と映像出力3本に対応しており、自動車の前後左右に搭載されたカメラを3D処理して表示する同社の全周囲立体モニタシステム「OMNIVIEW」との連携強化や、メータディスプレイやヘッドアップディスプレイ、センターディスプレイなどを一括して処理する統合HMIシステムなどを1チップで処理することが可能となっている。これらの処理に対応するソフトウェアとしては、OMNIVIEW向けとして接近物を検知する機能を実現するためのライブラリが提供されるほか、統合HMIシステム向けにはコンテンツデザイナーと組み込みアプリケーションエンジニアが協調して設計することが可能なオーサリングツール「CGI Studio」などが提供される。
1チップで接近物検知機能が付いた全周囲モニタシステムなどの構築が可能となる
さらに、描画レイヤを8層持つことにより、アプリケーション、コンテンツに応じて異なる描画レイヤ上で最適な画像処理を行うことが可能となっている。
なお、同製品は2013年8月よりサンプル出荷を開始する予定で、サンプル価格は5000円。同社では2015年より量産を開始し、2016年には年間300万個の販売を目指すとしている。
「MB86R24」を用いたデモ。右の画像の基板中央のメタルパッケージが同製品となる