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JAMSTEC、東南海地震が対象のリアルタイム地震観測システムの運用を開始
海洋研究開発機構(JAMSTEC)は8月26日より、地震計・水圧計(津波を観測)を備えた海底ケーブルネットワーク型観測システム「地震・津波観測監視システム(DONET)」のすべての地震計データの防災科学技術研究所および気象庁への提供を開始したことを発表した。
DONETは、国の地震調査委員会で今後30年以内の発生確率が70%程度とされている東南海地震の震源域にあたる紀伊半島沖熊野灘において、稠密かつ高精度に地震や津波などのリアルタイム観測を行うため、当該海域の水深約1,900m~4,300mの海底に設置され、これまで試験運用が行われてきた海底ケーブルネットワーク型の観測システム。
東南海地震を対象としたリアルタイム観測システムの構築と、地震発生メカニズムの解明などを目的に開発されたもので、従来の観測システムではなし得なかった深海底における多点同時、リアルタイム観測を行うことができることが特長で、三重県尾鷲市古江町の陸上局から、紀伊半島の沖合約125km先まで、総延長約250kmに渡る基幹ケーブルをループ状に敷設し、途中5カ所の拡張用分岐装置に、それぞれ4つの観測点が接続されたシステムで、各観測点には、地震計や、津波を検知する水圧計などで構成される観測装置ユニットが、水深約1,900mから4,300mの深海底に設置されている。
観測装置には海底ケーブルを介して陸上から電力が供給され、観測装置からは海底の地震動、水圧変動などのデータがケーブル内の光ファイバを通じてリアルタイムで陸上局へ送られる。観測装置からのリアルタイムデータは、陸上局から専用回線を通じて海洋研究開発機構や防災科学技術研究所、気象庁に配信される仕組みとなっている。
DONETの設置箇所。東南海地震の想定震源域に、地震計・水圧計を備えた稠密な観測網を構築している
このため、同システムでは、東南海地震の震源域近傍の海域で発生した地震を、陸上観測点と比べ最大十数秒早く検知することが可能で、現在、気象庁において観測データを緊急地震速報などに活用するための準備が進められているほか、水圧計データの提供についても、現在、両機関との調整を行っており、今後津波解析の高度化にも資することが期待されるとJAMSTECでは説明している。
なお、同システムの観測データは、東海・東南海・南海など複数の領域が連動して発生する巨大地震発生メカニズムに関する研究などにも活用されることになっている。
海域で発生する地震の検知時間の差(DONETと地上観測点とを比較した場合)。深さ10kmの地震について、震央が赤色の濃い位置にあるほど、地震の検知が早いことを表す。線の間隔は2秒間隔。例えば、0秒の線付近で地震が起きた際には、地震の検知は陸上での検知と時間差はないが、16秒の線付近で地震が起きた際には、DONETの観測点で陸上の観測点に比べ16秒程度早く検知できることを示す(検知時間の差は洋研究開発機構のシミュレーションによるもの)