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SIMロック解除は「IoT」競争への号砲 動き出す通信キャリア
SIMロック解除の義務化は、通信キャリアの戦略を個人ユーザーの囲い込みから、IoTを舞台にした企業の囲い込みへと舵を切らせる契機となるだろう。
■終わるキャリアの囲い込み戦略
2015年5月より全通信キャリアに対して、SIMロック解除が義務付けされる。ユーザーは通信キャリアを乗り換えるとき、すでに手元にある自分の端末を買い替えなくても、端末内に挿入されたSIMカードを取り替えるだけでいいようになる。
この義務化は長期的にキャリアの収益を圧迫することになる。今までのようにユーザーを囲い込むことができなくなり、ユーザーを引き止めるために様々な値下げなどの施策を行わなければならないからだ。
また、端末の買い替えサイクルの長期化も予想され、これも収益を圧迫する要因となる。内閣府の消費動向調査によると、携帯端末の買い替えサイクルは3.5年だ。「2年縛り」以降も同じ端末を使い続ける人が多い。理由に最新の機種でなくても機能的に十分だということがある。アップルは最新のOSである「iOS8」で2011年発売に発売されたiPhone4sまでサポートしている。4年間は端末を買い換えなくても、最新の機能を使うことができるのだ。
■いままでキャリアの囲い込み効果は薄くなる
いままでキャリアは、他のキャリアにはない魅力的な端末でユーザーを引き付け、そしてSIMロックで囲い込み、通信料で収益を上げるというモデルを用いていた。しかしSIMロックの解除によって、SIMカードを取り替えるだけでキャリアを移動できるようになるので、このような囲い込みも効果が薄くなってくるだろう。
SIMロック解除が直ちにキャリアの勢力図に影響は少ないとみられる。少なくとも端末の分割支払いが残っている間は、ユーザーがキャリアを移動することはすくないだろう。また、日本市場で最も人気があるiPhoneは大手キャリアがラインナップに加えており、またSIMフリーの端末も用意されている。魅力的な端末を目当てにしたキャリアの移動もそう増加することも無いだろう。しかし、SIMロックによるユーザーの囲い込みは効果を弱め、これまでのような旨味もなくなっていくことは確かだ。
■IoTを舞台にした新たな囲い込み戦略
キャリアは次の旨味をどこに求めるだろう?総務省が発表したガイドラインがヒントになるかもしれない。
総務省が発表した「SIMロック解除に関するガイドライン(平成26年12月改定)」には、SIMロックの対象外になる場合が記載されている。…ガイドラインの4項(1)「対象となる端末」の②を引用する。
“ただし、SIMロック解除を行わないことが公正な競争又は利用者の利便の確保に大きな支障とはならないと考えられるものについてはこの限りでない。”
さらに注釈にはこうある。
”汎用的に通話やデータ通信を行うための端末(現時点においては、いわゆるフィーチャーフォン、スマートフォン、タブレット、モバイルルーター及びUSBモデムが該当する。)以外の端末、技術的にSIMロック解除が困難な端末及び特定 の事業者の通信方式・周波数のみに対応している端末等を想定している。”
この注釈に注目すると、技術的にSIMロックの解除が困難か、または特定の通信方式・周波数に対応する端末というのがIoTデバイスに相当すると考えるからだ。
■IoTの市場規模は今後どうなる?
調査会社IDCはIoTを、「IP接続による通信を、人の介在なしにローカルまたはグローバルに行うことができる識別可能なエッジデバイス(モノ)からなるネットワークのネットワーク」と定義している。そして、市場規模を2018年には世界で21兆円を超えると予想している。
IoTの具体的な使用例として自動販売機がある。自動販売機内の在庫状況や商品の売れ行きをモニターし、そのデータを通信網を使って直接収集することで、適時的で柔軟な運用をより省力化してすることができる。
このような専門的な状況に用いられる通信機能には、より高い耐久性や守秘のための暗号機能、安定性をもった端末が必要である。そしてこのように特化された端末は、上で引用したようにSIMロック解除の対象外になると考えられる。
次のキャリアの囲い込みの舞台はIoTになる可能性が考えられる。鍵となるのは囲い込みを行う分野の規模だ。現在IoTの提案は、上の自動販売機や倉庫の在庫管理、医療など多種に及んでいる。これら様々な分野のなかで、最初に規模が大きい分野で囲い込みを成功させたキャリアが今後の通信業界の主導権を握る事となる。
■IoT分野で注目の分野は「電力」
なぜなら、IoTは競争が始まったばかりで、リーダーとなる企業もスタンダードを握った技術もまだないからだ。デジタル世界のビジネスで主導権を握るには、技術的な優劣と同じぐらい、その技術がどれだけ広く使われているかが重要になる。技術的に劣っていても、より多くの人が使っているモノが、他の優れたものを駆逐することはよくある。…では、どの分野の囲い込みに注目するか。注目すべきは電力分野だ。2020年には電気事業法の改正により電力の発送電分離が開始される。電力の利用者が柔軟に電力会社を選べるようになるにはIoTの技術が必須だ。
すでに各キャリアは動き始めている。NTTドコモ <9437> は家庭用HEMSのサービスに乗り出している。またKDDI <9433> はマンション向け電力小売業を始めている。そしてソフトバンク <9984> は電力販売という上流から電力分野に参入している。
今後、この分野を誰がどのように囲い込むかが、SIMロック解除以降のキャリア勢力図を左右すると考える。
(ZUU online)