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金子ノブアキ、アーティストと俳優どちらも不義理を「辛い時期もあった」

金子ノブアキ、アーティストと俳優どちらも不義理を「辛い時期もあった」

ロックバンドのRIZEとAA=などのアーティスト活動だけでなく俳優としても活躍する金子ノブアキ。映画『セッション』の試写会イベントに登場した金子が、ORICON STYLEのインタビューに応じた。音楽一家に生まれアーティスト活動だけでなく、役者としても成功している金子は、どのように今の地位を築いたのか? その秘密に迫る。

【写真】アーティストと俳優ともに活躍する金子ノブアキのクールな姿

◆俳優に再挑戦して、最初の2年は精神的にも肉体的にも大変だった

――1年ぶりのソロシングル「The Sun」が4月1日に発売され、ソロ初ライブも決まりました。
【金子】 この時代、本当に幸せなことだと思います。6、7年前にソロ音源を作ってみたときから、時間をかけてやっとここに辿り着けたなと。俺の場合、時間をかけたぶん、心も体も筋肉がついているわけで、その状態でいまこうしてソロライブをやれるっていうのは最高のタイミングだと思います。それに、俳優業と共通していて、俺は役者をここ数年やらせてもらっているけど、その経験がなかったらソロは確実にやってない。

――金子さんは元々、子役=俳優からのスタートしていて、それを辞めて音楽の世界に入り、また俳優業を再開したのはなぜですか?
【金子】 6年ぐらい前、音楽業界に冬がくるって言われていて。とにかく何かアクションを起こそうって。そうしたら、いいタイミングで映画『クローズZEROII』のキャスティングの方が俺らのライブを観に来て、声を掛けてくれたんです。で、メンバーにも「映画に出るから」って話したんだけど、これはある種、的になって指名手配されたようなもんだなと思いました。

――指名手配?(笑)。
【金子】 だって、メジャー映画っていう、音楽とは違うジャンルに足を踏み入れるのは、ミュージシャンとしてはすごい挑戦だし、失敗したらダメージが大きい。しかもそれをちょっとやって、すぐに辞めたりしたら、一番カッコ悪いでしょ。だったら最低でも5年はそこに身を置いて、認識してもらうってことにチャレンジしていくしかないなって。でもここが人生において飛び乗らなきゃ行けないタイミングなら、乗らなきゃダメだろうなと。でも、最初の2年ぐらいは大変でしたね、精神的にも肉体的にも。

――何が一番大変でした?
【金子】 演技の世界に一度背を向けて不義理をしているし、そこにまた戻ったってことでミュージシャンとしても謀叛をはたらいている。要はどっちの世界にも“どのツラ下げて来た”って状態だから、どう転んでも泥をかぶるんだろうなってことが辛かった。

――行き場がなくなったわけですね。もう後戻りはできない状態。
【金子】 そう。音楽やっているときは誰の言うことも聞かずにやってたけど、俳優は制作と監督が引っ張って作り上げていくものだから、そこにミュージシャンシップはいらない。でも俺の場合、そこが漏れ出ちゃっているみたいなんですよ。監督からはそれを良い部分として言ってもらえることが多いんだけど、やっぱり俺は音楽の人だから、本質が見えてしまうのかもしれない。

――それが俳優・金子ノブアキの個性であり、特異性ですよね。
【金子】 子役のときは周りの大人たちに反抗して音楽の道に行ったけど、大人になると、その頃は見えなかったものも見えてくる。だから今は俳優も音楽もどっちも楽しい。以前はミュージシャンとの切り替えを無理矢理やっていたけど、今はそれも自然にやれるようになった。

◆俳優としての最初の現場が三池崇史監督だったから良かった

――昔はどんな風に切り替えていたんですか?
【金子】 音楽をまったく聴かない。聴くと「本当はこうじゃない!」って俳優の現場を否定するようになる。それじゃ子役のときと変わらないでしょ。だから最初の何年かは俳優をやるときは音楽を一切、遮断していました。でも今は全然、大丈夫です。ドラマや映画の仕事をしながら、音楽制作もやっているから。

――それって慣れもあるけど、演技のスキル自体も上がったってことなんですかね?
【金子】 スキルというか、多分、最初が三池(崇史)監督の現場だったから良かったんでしょうね。三池さんからは台本のセリフを無視して「君のキャラクターで喋ってくれ」って言われたんですよ。だから『クローズZEROII』のケンカのシーンは全部アドリブ(笑)。でもそれがすごく正解で、自分から勝手に出てくるものを出すって作業は演奏とすごく似ている。いい演奏をしているときは、演奏することを考えていない。演技もその領域に入ると、決められたセリフすら自分の言葉になったりする。だから自然と両立できた気がします。

――音楽でも演技でも、何かを創り出す瞬間の恍惚感や爆発感が好きなんでしょうね。
【金子】 生む感じが好きなんだと思う。しかも今はどっちの世界である程度、認識してもらい、俳優業のおかげで、こうしてソロのライブまでできるようになった。それは本当にありがたいことだから、思いっきり楽しんでやらないとバチが当たりますよ。

――今はバンド、ソロ、そして俳優業とすべてが充実しているんですね。
【金子】 バンドマンとしては20年も経つと、フェスとかでは老舗みたいな感じでやらせてもらっていて、それは本当に宝。歴史を重ねないと絶対手に入らないものだなって思います。現場で「RIZEさん、入られました~」って演歌の大御所さんみたいに紹介されるのは、やりづらいからやめてって言うんだけど(笑)、「これも財産だねぇ」ってボーカルのJESSEとも話しているんです。でも、そこに慣れるとまた飽きちゃうから、今の音楽って何だろう?って探求の旅はこれからもやっていくつもり。

――終わりのない旅ですね。
【金子】 何かを生んで育てていく過程って近道もないんですよね。これはもう草の根運動みたいなもので、どんどんいい曲を発信してライブをやるしか手がない。それで、俳優業もやらせてもらい、そういう相乗効果をひとつのプロジェクトの中にも求めていく。それが今後の野望であり、目標。だから今は安定してきているけど、また新しいことが始まるぞって、すごく瑞々しい気持ちです。

(文:若松正子)

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