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Berryz工房にかけられた11年間の魔法 ~武道館ライブレポート前編~
Berryz工房は、最後まで変わらなかった。
7人は2015年3月3日、『Berryz工房ラストコンサート2015 Berryz工房行くべぇ~!』でグループとしての活動を休止した。チケットの争奪戦を乗り越え、平日の武道館に辿り着いた精鋭達は、各自思い思いのTシャツに身を包んで彼女達を迎える準備を整えている。開演前に会場に響いた「ベリーズ行くべぇ~!」コールは10分近く、リズムを崩すことは無かった。 記念すべき本公演は、みんなのアンセム『スッペシャル ジェネレ~ション』からスタート。リリースから約10年が経ち、身長もすっかりチグハグになってしまった熊井友理奈と嗣永桃子もこの日はしっかりと手を合わせている。活動休止という悲しみを忘れさせてくれるような、お城を模したキュートな舞台セットの上で、そのまま『ROCKエロティック』を歌い切る。
メンバー紹介VTR後、ガーリーな衣装に着替えた7人は『愛のスキスキ指数 上昇中』、『付き合ってるのに片思い』など、ベリらしいポップな楽曲を連続披露。かと思えば、『勇気をください!』ではしっかりと“アイドル”の顔を見せてくれた。緩急だけでなく、バラエティーに富んだセットリストが組めるのも、ベリの魅力だ。
「楽しいー! 今日がラストですよ! 一緒に楽しんでいこうね」という夏焼の挨拶から、『21時までのシンデレラ』が久々に披露される。曲間ではなんとライトブルーのロングドレスに早着替えが披露された。あっと言う間の出来事で、これには大歓声があがる。シンデレラのような衣装の7人がお城のようなセットで舞い踊る様子は、3月3日で解けてしまう11年間の魔法の集大成のように思えた。終わりがわかった上で、限られた時間を楽しむ……この日本武道館公演は、彼女たちとファンがつくる最後の舞踏会なのだ。
清水佐紀の「私たちBerryz工房の歴史、そして皆さんとの思い出は、この曲から始まりました」という曲振りからは、デビュー曲『あなたなしでは生きてゆけない』へ。そのまま『普通、アイドル10年やってらんないでしょ!?』を迷いの無い笑顔で歌い切る。アイドルとして完走した日々を思い返して幸せを噛み締めているように見えた。当日のセットリストはメンバーが選曲したということだが、この流れには込み上げてくるものがあった。 歴史を振り返るVTRでは、はじまりの地・さいたまスーパーアリーナではしゃぐ幼い7人や、卒業したもう1人のオリジナルメンバー、石村舞波の姿が映し出される。そして去年8月2日に中野サンプラザで発表された活動休止の宣言の様子が流れる……。
ベリは、今日を最後に遠くに行ってしまう……会場のファンの涙腺を刺激したところに、なんと猿のコスプレをした7人が登場。しんみりしたムードを一気に吹き飛ばし『行け 行け モンキーダンス』、『I>m so cool!』、『cha cha SING』のお祭りチューンを3曲連続披露。
夏焼は「まさかラストライブで猿のコスプレすると思わなかった。(中略)絶対℃-uteは、やらないもん」と笑う。これには清水も「(℃-uteだったら)いきなり(布の)面積アレなやつだよ」と笑う。女子校ノリの、ほのぼのした会話が続く。夏焼は「(最後だから流石にしんみりすると思ったら)楽屋入って早速御飯食べてる人がいて、最後まで変わらなかった」と笑い飛ばした。
トーク番長・嗣永は、徳永が会場入りの時に、武道館の警備員に「パスを見せて下さい」と制止されたことを暴露。これに徳永は「ベリ史上、5本の指に入るくらいショックだった」と正直気持ちをこぼす。
「じゃあ、1番ショックだったことは?」という嗣永からの問いかけに徳永は「センターが取れなかったこと!」と言い切り、会場に笑いを巻き起こす。最後は「ちょっとまぁさ、一発ぶん殴って」と嗣永を一喝。これぞベリ!
そんなコントのようなMCの後は、ライダースジャケットに身を包み『ジリリ キテル』からかっこいいベリをアピール。『世の中薔薇色』ではメンバーカラーのチアリーダー風の衣装に早着替え。定番曲『ライバル』『すっちゃかめっちゃか~』『一丁目ロック!』で畳み掛けるように本編は終了した。
achico 寝ても覚めてもアイドルポップ!なOL / フリーライター。東京生まれH!P POP育ち。日々、アイドルに踊らされています。