黒田「ただいま広島」＝復帰白星に本拠地熱狂－プロ野球

　

　 米大リーグからプロ野球に復帰し、８年ぶりの公式戦登板となった広島の黒田が白星。カープカラーの真っ赤に染まったスタンドを背に力投した＝２９日、マツダスタジアム

　 　真っ赤に本拠地を染めたファンは総立ちだった。「お帰りなさい」の大歓声が飛ぶ中、お立ち台に登った黒田は「広島のマウンドは最高でした」。米大リーグから８年ぶりの日本復帰初登板で７回を無失点。「ただいま」のあいさつは白星で返した。
　　ヤクルトとはオープン戦で顔合わせ済み。「当然向こうも打ち方を変えてくる」。テンポよくストライク先行で料理した前哨戦から変身し、間を取って相手の打ち気を外し、ボール球も有効に使った。四回を除いて毎回走者を許してもホームは踏ませない。相手の「ストライクを積極的に狙わせた」（杉村打撃コーチ）作戦を巧みにかわした。
　

勝利投手となり、観客席のファンとタッチする広島の黒田＝２９日、マツダスタジアム

　 　桁違いの契約額で勧誘されたメジャー残留ではなく、「僕を待ってくれている人がいる」と古巣を選択して日米を驚かせた。過熱する一方の黒田フィーバーで迎えた初戦の重圧も、「今までプレッシャーのないマウンドを経験したことはない。いつも通り」とはね返した。
　　号泣するファンもいるほどの熱狂。４０歳の黒田は「ちょっと複雑。（自分は）引退するのかな」と冗談を交えて感謝した。「１球１球いつまで体が続くか分からないが、続く限りチームのために投げる」。広島を酔わせる「黒田劇場」が、最高に近い形で幕開けした。