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<選抜高校野球>悔い見つめ…投球磨く決意 東海大四・大沢
紫紺の優勝旗が初めて北陸に翻る。1日の第87回センバツ決勝で敦賀気比(福井)が東海大四(北海道)を3−1で破って初優勝し、春夏通じて初めて北陸勢として頂点に立った。勝利の瞬間、敦賀気比のアルプス席は、赤いメガホンが打ち鳴らされ、歓喜に包まれた。北海道勢初のセンバツの頂点に挑み、敗れた東海大四にも大きな拍手が送られ、球児の夢舞台が幕を下ろした。
◇
東海大四の大沢志意也(しいや)投手(3年)は、1年先輩の西嶋亮太さん(18)=JR北海道=を目標にしてきた。「超スローボール」で昨夏の甲子園を沸かせた姿に憧れ、その大きな影に戸惑いもした。その先輩もたどり着けなかった大舞台に立ち、敗れたものの自分の目指す方向を探し当てた気がする。
野球部で寮生活を始めると西嶋さんと同室だった。よく一緒に練習し、変化球や緩急の付け方を手本にした。結果が出ない時には「真っすぐを忘れるな」とアドバイスを受けた。昨夏の甲子園では、山なりの弧を描く超スローボールを交えて観客の喝采を浴びる先輩を、ベンチから尊敬のまなざしで見ていた。
「次はどんな投手が来るのだろう」。西嶋さんの引退後、時折そんな声を耳にした。周りの期待に重圧も感じながら臨んだ昨秋の北海道大会。「負けたくない」の一心で腕を振って優勝した。
結果が出て余裕が生まれ、雪が積もり出すと自分を見つめ直す時間もできた。本来の目標は尊敬する先輩を超えて甲子園で勝ち上がることだ。自分の投球も見えてきた。「スローボールのような目を引く武器はないが、球威は西嶋さんに勝る」。長所を伸ばそうと食事量を増やして筋力トレーニングに励んだ。
球速が上がり、センバツで出した142キロは自己最速だ。一方、2回戦の松山東(愛媛)戦やこの日の決勝では超スローボールも投じた。自分の投球に自信ができたからこそ、西嶋さんの代名詞でも自然に投げることができた。その西嶋さんからは前夜、「捕手を信じて投げ込め」とメッセージが来たという。
決勝では敦賀気比の強力打線を封じたが、八回に痛打を浴びて敗れた。試合後「冬の間に投げ込み、連戦でも球威が落ちなかった。ただ、今日は悔いが残った。制球ミスのない投手になりたい」と前を見ながら話した。
「良いものは吸収し、自分の投球を磨く」。頂点にあと一歩まで迫ったセンバツで、自分なりの答えを導き出した。【日下部元美】