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ブラック雇用主が「中高年バイト」を使いはじめた理由
ブラックバイトといえば、学生や若いフリーターがターゲットになっていたが、最近では中高年の労働市場でもこの言葉が注目され始めた。薄給で過酷な労働を強いられる50~60代の中高年層に対して、“安価で良質”な労働力として目を付け始めた経営者も多い。積極的に中高年アルバイトを雇い入れている経営者の思惑に迫ってみた。
「まず我慢強い。年を食って社会を知ってるだけに上の指示は聞く。ひと言でいえば使い勝手がいい。多少の無理使いも文句を言わない。で、安価で済むし、切りやすく便利なことこの上ないね」
大阪府で産廃事業を経営する江口友成氏(仮名・42歳)はこう語る。数年前まで20代、30代の若年層を雇い入れていた。だが日給への不満や、文句の多さに辟易としていたところ、同業の仲間に相談すると「50代以上の年配のオジサンを雇うといい」という意外な答えが返ってきた。
半信半疑でハローワークに募集を出すと1人の募集に30人近くの応募があった。そこで試しに1人雇ってみたという。
「住宅ローンを抱えているという55歳の人間だったけど、若いのと違って根性があった。家族持ちで責任感も強い。これはアリだなと思って、以来、ウチはもう50代以降に絞ってる」(江口氏)
人は家庭や借金返済という目標があれば辛い仕事でも耐えられる。中高年にはそれがある。
「うちは借金持ち大歓迎。多少、過去に足を踏み外した人間でも大丈夫。きちんと使いこなすから」
神奈川県内で鉄工所を営む林勇氏(仮名・45歳)はこう語る。2代目の林さんは父の代から「借金持ち」「バクチ狂い」の雇い入れを積極的に行なってきた。
「借金するタイプはカネへの執着がない。決まった日に給料を渡せばそれだけで満足するからね」
ハローワークを通じて求人を出しているが、「求人票は嘘だらけ」(林氏)だと言う。長時間労働とサービス残業のオンパレードだが、働く中高年から文句を言われたことはほとんどないとか。どちらの経営者も結局は立場の弱い中高年につけ込んでいるだけ。そう思うのは気のせいだろうか。 <取材・文/週刊SPA!編集部>
※3/31発売の週刊SPA!では「[中高年ブラックバイト]のヒドすぎる実態」という特集を掲載中。