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不動産売却は元気なうちに 少子高齢化加速で空き家戸数は年々増加
【激変!相続税に備える】相続が発生したために不動産を売却するケースは多い。相続税の納税や、遺産分割のためだけでなく、親がひとりで暮らしていた家を、相続人が誰も必要としない場合もある。少子高齢化が加速すれば、それだけ家が余ってくる。とりあえず実家を相続しておく、という選択も難しくなるだろう。
総務省の土地統計調査によると、全国の住宅に占める空き家の戸数は2013年10月時点で820万戸に上り、その割合は13・5%と年々増加している。管理がされていない空き家は、防災や防犯の面でも問題だ。
これに対処するため、昨年、空き家対策特別措置法が成立した。倒壊の危険があるなどの「特定空き家」に対しては、各自治体が所有者に撤去・修繕などを指導・助言し、それに従わなければ勧告・命令できる内容だ。罰則規定も設けられる。
空き家が増えるもうひとつの理由として、固定資産税の軽減がある。住宅が建っている土地は、1戸あたり200平方メートルまで固定資産税が6分の1に軽減される。建物を取り壊せば固定資産税の負担が増えるため、空き家でも建物を残しておくのだ。
このため、15年度税制改正で「特定空き家」と認定された場合、固定資産税の軽減の対象から除外することが盛り込まれた。相続をきっかけに、使わない不動産を売却するケースは、ますます増えるだろう。
しかし、相続が絡む不動産の売却はトラブルが多い。相続人の間で意見がまとまらない例が最も多いが、最近は、父親の相続に伴い、高齢の母親が不動産を売却するケースが増えてきた。
私は昨年末、不動産売却の契約当日に、売主である高齢の母親を救急車で病院に運ぶという経験をした。契約の2日前から連絡が取れなくなっていたので、別居の長男夫婦に連絡し、契約当日に長男夫婦と自宅へ行った。母親は、意識はあったがリビングに倒れていた。後で聞くと骨盤が骨折していたらしい。
母親は、倒れた体のそばに不動産の権利証を置いていた。売買契約を確実に実行しなければ、という精神的な負担があったのかもしれない。
日本は4人に1人が65歳以上だ。85歳以上では、4人に1人が認知症ともいわれている。高齢になれば体力も衰え、認知症のリスクが高まる。不動産の売却に限らず、遺言書を用意する、贈与をするなど、相続対策は元気なうちに実行しておきたい。
■安食正秀(あじき・まさひで) アセット・アドバイザー代表。相続アドバイザー協議会会員。不動産コンサルタント。1963年、東京都生まれ。立教大卒。熊谷組を経て、2006年に起業。次世代への財産承継を最優先に、相続対策の企画立案、実務支援を行う。