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文化庁『メディア芸術データベース』の活用法と今後の課題
文化庁は3月17日、2010年(平成22年)に事業を開始した『メディア芸術データベース』を公開しました。公開時点では漫画単行本約25万冊・雑誌約8万冊、アニメ約9000タイトル、コンピュータゲーム約3万5000タイトル、メディアアート関連イベント約1万件(オンライン上の公開は26件)が登録されており、今後もデータの更新・拡充を予定しているそうです。
ジャンル別に見て行くと、まず「マンガ」では単行本だけでなく雑誌各号の目次情報が登録されていることが目を引きます。現時点で目次情報が登録されているのは『週刊少年ジャンプ』や『なかよし』『COM』など10誌に留まっていますが、作品内のエピソードタイトルも網羅されているため今後もデータが拡充されて行けばより有用性が高まることは間違いありません。注意点としては、資料ごとに国立国会図書館など6館の所蔵情報が表示されますが『コロコロコミック』のように国会図書館の分館である国際子ども図書館が所蔵している資料は現時点で所蔵情報に表示されないことが挙げられます。著者情報は今のところ作品への紐づけのみが行われているものがほとんどですが生没年月日、特に没年の欄が用意されている点は将来的な作品の利活用に資すると言う意味で特に評価出来るポイントの一つです。今後は国会図書館の典拠データ検索・提供サービスやバーチャル国際典拠ファイル(VIAF)との連動が期待されます。
「アニメーション」は1917年(大正6年)から2014年(平成26年)9月までの100年近い期間に公開された作品を劇場版・テレビシリーズ・OVAにまたがって網羅しており、データベース公開時点では最も充実した分野になっています。横断的なものではこれまで『Anime News Network』を始めとする海外のデータベースぐらいしかオンライン上で参照可能な情報が無かったことを考えると日本語でこの規模のデータベースが公開されたのは画期的な出来事と言えるでしょう。エピソードタイトル等の詳細情報はまだ公開時期が新しいものしか入力されていませんが、放送開始・終了日や本放送時の放映時間などのデータはほぼ入力が完了しており、原作漫画やコミカライズがある場合は「マンガ」の作品情報と相互リンクが張られているなどデータベース間で繋がりを持たせている点も特徴的ですが、ゲーム化作品は今のところ相互リンクの対象になっていません。
「ゲーム」は1972年(昭和47年)以降の家庭用・アーケードゲームの大半と一部のPC用タイトルが登録されています。データベースに登録されているタイトル数は「マンガ」や「アニメーション」と肩を並べる規模ですが、他のジャンルに比べて登録情報がやや淡々としていたりシリーズ作品を同時に参照することが出来ない点は改善の余地が感じられます。面白いのは検索画面で「一覧」を選択すると、各年ごとにリリースされたゲームタイトルが年表形式で一斉に表示されることです。ただし、端末の性能や回線状況によっては読み込みに時間がかかるので表示を試してみたい場合は登録件数が少ない「PC」をお薦めします。
この『メディア芸術データベース』まだ「開発版」と言うこともあり、今後もデータ拡充や諸機能の改良に期待したいところですが一点だけ早急に改善を要すると感じたのは「メール送信フォームをわかりやすい場所に設置して欲しい」と言うことです。今のところトップページ下部にある「御意見」の欄に記載されたメールアドレスへ意見を送るのが唯一の連絡手段とされていますが、細かい誤字などを指摘する際に「メディア芸術データベースへの意見」の件名で形式ばったメールを何通も送ると言うのは送る側の心理的な負担が大きいので、より完成度の高いデータベースを目指すためにも早期のデータ修正用送信フォーム設置が望まれます。
画像‥文化庁・メディア芸術データベース( http://mediaarts-db.jp/ )の「マンガ」トップページ
※この記事はガジェ通ウェブライターの「84oca」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?( http://j.mp/L1J0nN )
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