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復興住宅、目立つ高齢化
- 復興住宅内のカフェで、お年寄りの相談に乗る支援員の伊藤さん(左、女川町で)=冨田大介撮影
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災害公営住宅(復興住宅)で、入居者の高齢化が顕在化しつつある。
自力での住宅再建が困難な高齢者が集まる傾向があるためで、65歳以上の割合が50%を超える復興住宅もある。仮設住宅と比べて住み心地は向上するが、コミュニティーの形成や自治会運営の面で新たな課題が出てきている。
宮城県女川町の高台に立つマンション型の「運動公園住宅」。町社会福祉協議会職員の伊藤恵悟さん(41)は昨年末、自治会班長の80歳代の男性から相談を受けた。「ご近所のブレーカーが落ちてしまって……」。同じ階の80歳代の女性に助けを求められたが、玄関脇の分電盤が約1メートル80の高さにあり、男性も届かないという。
伊藤さんが対処し、女性に電気の容量を増やすよう助言したものの、女性は「申請用紙の字が小さくて読めない」。代わりに伊藤さんが手続きをした。
同住宅は、住民398人のうち51・7%にあたる206人が65歳以上(2月1日現在)。町全体の高齢化率(31・7%)を20ポイントも上回る。町はコミュニティー作りを手伝う目的で、伊藤さんら3人の支援員を配置しているが、伊藤さんは「行政の支援が縮小していけば、住民同士が触れ合う行事も減っていく」と心配する。
戸建てと、2戸1棟の長屋型に322人が暮らす山元町の「新山下駅周辺住宅」は高齢化率48・1%(2月1日現在)。夫(79)と2人で住む岩佐のり子さん(80)は「火事や雪かきの時が不安。消防団を作ろうにも、入る若者がいない」とため息をつく。
同様の課題はあちこちで顕在化し始めている。岩手県宮古市の復興住宅の高齢化率は43・2%、同県大船渡市は40・9%に上る(いずれも2月1日現在)。資材の高騰や人手不足で復興住宅の建設が遅れている自治体もあり、完成を待ちきれない若い世代が自力再建や転出を選択し、高齢化に拍車がかかることも懸念されている。
各自治体は▽一人暮らし用の部屋を家族用の部屋で挟むように配置(大崎市)▽復興住宅の一角に高齢者相談所を常設(多賀城市)――といった工夫をしているが、支援の継続には財源の裏付けが必要だ。
1995年の阪神大震災で被災した兵庫県芦屋市は、復興住宅2か所への支援員配置や、各室の水道利用状況などを把握できる安否確認システムの運用を続けている。人件費を含むコストは年間約5000万円で、市が全額を負担。市高齢福祉課の木野隆課長は「高齢者同士では限界がある。負担は重くても支援を続けていきたい」と話している。
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