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災害に強いのは電子書籍。3.11で考える本の購入術
村上春樹の30年ほど前のコラムに、少年時代に近所の本屋でツケで本を買っていたという話が出てくる。それによれば、自分の育ったあたり(1960年代前半の兵庫県の芦屋)では子供がツケで本を買うということはさほど珍しいことではなかったらしい。その本屋では配達もしてくれて、春樹少年は毎月家に届けられる河出書房の「世界文学全集」と中央公論社の「世界の歴史」を一冊一冊読みあげながら10代を送ったという。そんなふうに子供の頃を振り返りながら村上は、もしうちでとっていたのが「日本文学全集」と「日本の歴史」だったとしたら、自分はいまごろガチガチのリアリズム小説を書いていたかもしれないと書いている(「本の話(3) つけで本を買うことについて」、『村上朝日堂』所収)。
村上とは30歳ほど下ながら、私もまったく同じ体験をしている。その書店はもともとは実家の近所のスーパー(というか個人商店が一つの建物内に集まった店舗)内にあったのが、約30年前に独立して同じ市内のべつの地域に店を開いてからは車で配達してもらうようになった。中学時代に届けてもらっていた講談社の「昭和 二万日の全記録」という全集などは、あきらかにいまの自分の好みや仕事の志向を決定づけている。
じつはその書店とはいまでもつきあいがあり、最近でも分冊百科の数シリーズ(それぞれ鉄道、プロ野球、日本史をテーマにしたもの)を配達してもらい全号をそろえた。この手の分冊百科は図書館に入ることもあまりないので、つい定期購読してしまう。
全集や雑誌、あるいはパートワークとも呼ばれる分冊百科など定期刊行物を買うのならやはり近所の中小の書店がいい、と勧めるのは中川右介『購書術』(正確なタイトルは『出版社社長兼編集者兼作家の購書術 本には買い方があった!』小学館新書)だ。同書によると、CDやDVDを付けたものも多いパートワークはいまや中小の書店で大きな収入の柱となっているという。定期購読者が多ければ書店にとって安定収入になるし、さらに版元の社内でも担当者は仕事がやりやすくなり、次の企画につながる。そういえば、私の知っている出版社の編集者も、鉄道をテーマにした分冊百科でまず国鉄・JR編を出したところ好評で、そのあとも大手私鉄編、公営鉄道・中小私鉄編へとシリーズをつなげることができたと話していた。
全国の書店の数はここ20年ばかり、中小の個人営業の店舗を中心にずっと減り続けている。…