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試行錯誤に新たな発見、8K制作はここまで進んだ
先週、東京・渋谷で「第2回4K・8Kコンテンツ制作者・技術者ミーティング」が開催され、主催のNexTV-Fが募集した8Kコンテンツ5作品の制作者がそれぞれ報告を行った。7680×4320ピクセル/約3300万画素という高解像度映像の撮影では、4Kともまた異なる視点が必要になるようだ。
J:COMグループのジェイ・スポーツは、NHKメディアテクノロジーの技術協力で撮影した「SKY」を紹介した。SKYは、「空のF1」といわれる「レッドブル・エアレース」に参戦する唯一の日本人パイロット、室谷義秀氏のエアロバティック(アクロバット飛行)を捉えた作品。高速移動するプロペラ機が繰り出すダイナミックで華麗な技をセスナ機からの空撮などを駆使して撮影した。飛行機空撮による8K映像制作は民間放送事業社としては初となる試みだ。
空撮には8K単板CMOSセンサーを搭載したソニー「CineAlta F65RS」を使用。地上からの撮影には池上通信機の4板式8Kカメラ「SHV-8000」を用いた。SHV-8000は、電源車や機材車を用意する必要があるほどの大柄な機材だが、光の3原色を別々のセンサーで記録する4板式は、単板式よりも色の再現性に優れる。
またアクションカム「GoProHERO4」やニコンのデジタル一眼レフカメラ「D800」も活用。例えば4K映像を縦横に4つ並べ、4面マルチによる8K画面を表現するなど、多分に実験的な取り組みが行われている。また、わずか10秒間の映像をつくるのにMacProとFinal Cut Proで合計600枚のTIFF画像を書き出し、編集スタジオに持ち込んで8Kを生成するという手法も紹介した。こうした試みにより、高精細かつ臨場感あふれた迫力の映像を表現することに成功したという。
NHK広島放送局は、広島市の原爆資料館に収蔵されている被曝遺品を扱った「ヒロシマ 被曝遺品が語る」を制作した。資料館には、原爆投下時の熱で焼かれた遺品の数々が展示されているが、制作に携わった森田哲平氏によると、8Kの超高精細映像では、アルミの弁当箱に彫られていた名前など、それまで気づかなかった細かい部分まで見えてくるという。「肉眼では分かりにくくても8Kなら見分けられるものもある。驚異的なディテールが持つ臨場感は、原爆投下後70年の時を超えて感情をゆさぶる」。
森田氏は、8Kによる変化の可能性を感じたという。…